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飲食店の損益計算書(P/L)はどう見る?運営への活かし方と作り方を解説

飲食店の経営に携わっている方であれば、「損益計算書」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。

「数字はイマイチ苦手だ」「損益計算書は知っているが、見方がよくわからない」とお考えの方も、数多くいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、『損益計算書をどのように見ればよいか』という基礎的な部分をメインに活かし方と作成方法についても解説しています。

損益計算書をほとんど知らない方でもわかるような内容となっていますので、基礎から知りたいと思われる方はぜひ最後まで読んでみてください。

損益計算書(P/L)とは

損益計算書

損益計算書とは、一定期間における収益・費用・損失を一覧にしたものです。損益計算書を見ることで、その事業者の経営状態がわかります。

P/L(Profit and Loss statement)と呼ばれることも多いです。

必要に応じて金融機関や税務署へ提出する書類ですので、書式についてはある程度のフォーマットが決まっています。

損益計算書(P/L)はなぜ必要なのか

経営者

損益計算書を見れば、一定期間中にどれだけ利益や損失が出ているかわかります。作成する主な目的としては、次の3点があげられます。

自店舗の業績把握

損益計算書では、売上金に対しての仕入れや人件費、家賃などの費用が項目分けされて確認できます。

それぞれの項目を分析することで、どの部分が利益や損失につながっているのか的確に捉えられるのです。

競合他社との比較

自店と同じ、もしくは似た業態で繁盛している店の損益計算書を見ると、自店との違いが一目でわかります。

ただしどの店舗のものでも見られるわけではなく、公開されている企業のものだけになります。

取引先への信用獲得

損益計算書では、利益や損失の詳細がすべて見られます。健全な内容の損益計算書であれば取引先や銀行に提示して信用を得られ、資金調達や新規取引のアピールにつなげられるのです。

また怪しい取引先の損益計算書を確認して、今後の取引を検討する材料としても利用できます。

損益計算書と対としてよく出てくる書類に、「貸借対照表」(B/S Balance sheet)というものがあります。

簡単に説明すると、損益計算書では損益の細かな内訳がわかり、貸借対照表は決算時点の財務状況がわかる書類となっています。

損益計算書を含む財務書類は、財務状況を把握するためには無くてはならない書類だといえるでしょう。

損益計算書(P/L)の基本的な見方

虫眼鏡

一般的な損益計算書は、おおまかに下記のような内容となっています。実際はもっと複雑なのですが、わかりやすいように簡単にまとめます。

科目金額
①売上2,000,000
②原価600,000
売上総利益1,400,000
③販売費および一般管理費1,200,000
営業利益200,000
④営業外損益50,000
経常利益150,000
⑤特別損益30,000
税引前純利益120,000
⑥法人税等50,000
純利益70,000

それぞれの科目について、簡単に説明します。

  • 売上:該当する期間の売上金額です。
  • 原価:原材料費、容器の仕入れ代など、売上に直接関係する費用です。
  • 販売費及び一般管理費:人件費や賃料など、間接的に売上に関する費用です。
  • 営業外損益:利息や配当金など、本業以外で発生する利益や費用です。
  • 特別損益:臨時で発生する利益や費用です。
  • 法人税等:法人税、住民税などの税金です。

売上総利益(粗利)

売上総利益は、売上から原価を引いた金額を指します。売上総利益の比率が高ければ、商品力が高いといえます。

逆に低すぎる場合は価格設定が低すぎるか、原価が高すぎるかが考えられ、商品力が弱く収益性に欠けると判断できるのです。

飲食業では、売上総利益率は60〜70%程度が目安とされています。

営業利益

売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた金額が、営業利益です。販売費および一般管理費には、家賃や人件費、広告費用などの営業にまつわる費用が含まれます。

この金額が売上に対して高いと事業として収益力があると判断され、低い場合は人件費や家賃、広告宣伝費の割合が大きすぎると考えられます。

経常利益

営業利益から営業外損益を引いた金額が、経常利益です。資産運用などで利益が出ていればプラスになりますし、借入金が多ければ支払利息でマイナスに振れます。

経常利益の割合が低いと、本業以外の部分で何かしらマイナス要素が大きいと判断できます。

税引前純利益

税引前純利益は、経常利益から特別損益を引いた金額です。特別損益は臨時的な要因で発生するため、状況によって金額がさまざまとなります。

純利益

純利益は、税引前純利益から税金を差し引いた最終的な純粋な利益となります。この金額がプラスなら黒字、マイナスなら赤字と呼ばれます。

損益計算書(P/L)を店舗運営に活かすには

飲食店

損益計算書に関して、ここまで説明してきた内容を見るだけでも店舗運営の指標になります。さらに店舗運営に活用するために、下記のような見方を知っておくとよいでしょう。

営業利益率

売上に対する営業利益の割合が、営業利益率です。営業利益率は、次の計算式で算出できます。

営業利益÷売上×100(%)営業利益÷売上×100(%)

営業利益率は、飲食店では5%以上が一応の目安です。もし10%を超えていれば、優良企業と判断されるでしょう。

例外として、売上金額が非常に大きい店舗では経常利益率が低くても営業利益の金額が十分に確保されているため、さほど問題とならないケースがあります。

FL率

FL率とはFood(原価)とLabor(人件費)の比率を指します。飲食店では原価と人件費が大きなウェイトを占めるため、FL率はよく使われる値となっています。

飲食店においては売上総利益も大切ですが、商品力を表す指標としてはFL率の方が実情に即しているといえるでしょう。

計算式としては、下記の通りです。

(原価+人件費)÷売上×100(%) (原価+人件費)÷売上×100(%) 

割合としては、一般的には60〜50%程度となるのが望ましいとされています。

割合が高過ぎると原価と人件費がかかりすぎていることを意味し、どちらかに問題があると判断できます。

逆に低すぎる場合でも適正な原価や人件費が使われておらず、顧客満足度の下がっているケースが考えられるのです。

FL率を見てコストカットだけを考えるのではなく、適正な割合にするのが店舗運営では必要となるでしょう。

損益分岐点

損益分岐点とは、赤字と黒字がイコールになる売上高です。損益分岐点を上回る売上だと黒字、下回ると赤字となります。

損益分岐点を求めるには、固定費と変動費の金額を出す必要があります。

  • 固定費:人件費や家賃など、売上金額にかかわらず一定に発生する費用です。
  • 変動費:材料費や水道光熱費など、売上金額と比例して増える費用です。

損益分岐点を出すためには、次の計算式を使用します。

固定費÷{1-(変動費÷売上)}固定費÷{1-(変動費÷売上)}

損益分岐点の売上高が出たら、その金額を上回るためには何をどれだけ販売しなければならないか判断できます。

店舗経営では損益計算書を見て数字だけを追うのではなく、内容を精査して対策を打つための行動をするのが重要となるでしょう。

損益計算書(P/L)の作成方法

作成

損益計算書を作成するには、さまざまな方法があります。自店にあったやりやすい方法で作成するとよいでしょう。

帳簿に手書きで作成する

帳簿やフォーマット用紙に、直接手書きして作成する方法です。手間暇がかかり修正も大変なので、手書きで作成している企業は非常に少ないと思われます。

記載する項目が少なければ、手書きでも問題ないかもしれません。

しかしながら手書きだと帳簿管理も面倒になるため、これから新たにはじめる方にとってはおすすめの方法だとはいえません。

エクセルなど表計算ソフトで作成する

エクセルなどの表計算ソフトで作成する方法もあります。

Webで検索すれば損益計算書を作成できるフォーマットがたくさん見つかりますので、やりやすいものをダウンロードして使うのがおすすめです。

勘定科目は自分で入力しなければならないため、簿記の知識があるとスムーズに作成できます。

会計ソフトで作成する

最後に、専門の会計ソフトを使用して作成する方法です。

会計入力に特化しているため、非常に使いやすくなっています。毎月の管理もたやすく、入力の負担が一番軽くすむでしょう。

ただし機能のよいものはある程度の費用がかかるため、毎月の予算を検討して決める必要があります。

まとめ

まとめ

損益計算書は、店舗運営を進める上では大切な指針となります。

ただ画面の数字を追うだけではなく精査して対策を打つことで、経営を改善するにはどうすればよいか施策を考えられます。

損益計算書を熟知するのは大変ですが、ポイントさえ押さえて見ることができるようになれば、経営上必ず役に立つでしょう。

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