この記事では、タイトルの通りイートイン及び外食の特徴・市場・収益構造をメインで解説しております。
特にこれから飲食店開業を考えている方を意識した内容になっていますので、当てはまる方もそうでない方もぜひ最後まで読んでください。
「イートイン」「外食」とは?それぞれの定義・特徴
まずはじめに、似て非なる「イートイン」と「外食」の定義や特徴を改めて確認しましょう。
イートインとは
イートインとは、店内で購入した飲食物を店内の客席で飲食することを意味する和製英語です。
本来は店内で飲食することが基本のレストランなどの飲食店に対して使われる言葉ではなく、テイクアウトが選択できるコンビニやファストフード店、デパ地下で飲食する場合に使われる言葉です。
この「イートイン」とテイクアウトが選択できる店舗で注目されたトピックとして記憶に新しいのが、消費税に関する話題でしょう。
令和元年10月1日に、それまで8%だった消費税の税率が10%までに引き上げられました。その際に軽減税率が設けられ、低所得者対策として、
- 酒類
- 医薬品
- 外食
- ケータリング・出張料理等
を除く飲料食品(テイクアウト飲料食品)は税率8%のまま据え置かれることになりました。
これに伴い、コンビニやファストフード店、デパ地下などの「イートイン」とテイクアウトが専門できる店舗では、
- テイクアウトなら8%
- イートインなら10%
と、税率が二本立てになっています。
外食とは
外食とは、家庭外のレストランなどの飲食店で食事をとることを指します。現在では、「外食」という言葉から派生した「内食」や「中食」といった用語もでてきました。
【メモ】
内食:家庭内で食材を料理して食事を食べること
中食:弁当などの調理済みの食材をテイクアウトし、職場や家庭などで食べること
イートイン・外食の市場について
外食・中食市場情報サービス『CREST® 』を提供するエヌピーディー・ジャパン株式会社が発表したデータでは、業態別(イートイン)の2021年7月の売上推移(2019年同月比)は以下のようになっています。
業態(イートイン) | 2021年7月の売上推移(2019年同月比) |
---|---|
ファーストフード+セルフカフェ | 33%減 |
ファミレス | 36%減 |
居酒屋 | 73%減 |
その他フルサービスレストラン | 43%減 |
イートイン・外食の減少理由としては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により外出・外食を控えたい需要が増えたことが挙げられます。
一方で、テイクアウトやデリバリー対応を始めた飲食店が増え、売上を占める割合も2倍以上となっています。
デリバリー市場は今後も成長が見込まれるので、飲食店はイートイン・外食に加えてテイクアウトやデリバリー業態に参入していくことが必然になってきそうです。
イートイン・外食の収益構造
飲食店開業を目指す方にとって一番不安なのは、潰れずに経営し続けることができるかどうかだと思います。
しかし、不思議なことに世の中の飲食店には、繁盛してそうだったのに閉店してしまった店舗、繁盛してる様子がないのになぜか潰れない店舗がありますよね。
そこで、イートイン・外食における収益構造をみていきましょう。
イートイン・外食でかかる費用の内訳
飲食店には、売上に関わらず毎月支払う必要がある「固定費」と、月によって変動する「変動費」という支出があります。
以下が、飲食店経営を想定した基本的な変動費と固定費です。
区別 | 内訳 |
---|---|
変動費 | 食材費、人件費(パート・アルバイト)、販促費(広告・宣伝費)、水道光熱費、消耗品費etc |
固定費 | 正社員の人件費、土地代・家賃、通信費、保険料、減価償却費、支払利息、リース料etc |
固定費は損益分岐点にも関わる重要な数値で、固定費が小さいと支出も小さいので経営が安定し、逆に大きいと不安定な経営となってしまいます。
固定費は支出合計の15〜25%以内に収まるのが理想と言われているので、支出を抑えようと思った場合は固定費の見直しをしましょう。
ただし、正社員の給与をカットするなどの無理な固定費削減を行うと、店舗サービスの質が落ちて経営悪化につながってしまう場合もあるので注意してください。
また、変動費は以下の割合が理想といわれています。
- 原価:25%〜35%
- 人件費:30%前後(正社員を含む)
- 水道光熱費:5%
- 広告宣伝費:5%以内
- 消耗品・その他:5%以内
変動費の削減は固定費の削減よりもサービスの質の低下に直結しますので、見直しには慎重を期します。
人件費はシフトコントロールで抑える
飲食店経営において、サービスの品質を維持するためにも必ず人手が必要です。しかし、適正なシフトコントロールをすることで、人件費を抑えることができます。
もし、人件費が店舗経営を圧迫しているのであれば、原因として以下の2つが考えられます。
- 日および時間あたりにどのようなスタッフが何名必要なのかを把握していない
- 組んだシフトが適切な人件費に収まっているかどうか振り返っていない
上記の悪因を解消するためにも、おおよその売上予測を日単位と時間単位で算出し、そこから必要な人件費を算出し、算出した人件費から必要なスタッフの人数を決める必要があります。
まず、売上に対して人件費が適切に組まれているかどうかを確認するために、以下の計算式で「人件費率」を計算しましょう。
人件費率 =人件費 ÷ 売上 × 100
飲食店の場合、この人件費率は約33%以内が適正と言われています。
次に、売上に対する必要だった労働時間を確認するために、以下の計算式で「人時売上高」を計算しましょう。
人時売上高 = 売上 ÷ 総労働時間
例)「月の売上が200万円の店舗」「総労働時間が500時間」の場合の人時売上高は4,000円
飲食店の場合、この人時売上高は5,000円以内が適正と言われています。
人時売上高が算出できたら、目標とする売上金額を人時売上高で割ることで必要なスタッフの総労働時間を求めることができます。
例)人時売上高が4,000円で250万円の売上目標の場合
250万円 ÷ 4,000円 = 625時間
そして、これまで求めた数値を参考にシフトを組み、実際に滞りなく店舗が回ったかを振り返り、次回以降のシフトコントロールに活かしていきましょう。
収益にはターゲットにあった店舗の環境づくりが重要
安定した収益を生むためにもリピーター(ファン)の確保が必要ですから、ターゲットに好かれる店舗作りが必要不可欠です。
また、店舗の環境づくりの一環として店舗の座席数も考えなければいけません。座席数が多ければ席の間隔が狭くなり窮屈に感じてしまいますから、顧客が心地よいと感じる席数にしましょう。
そして、ターゲットにあった店舗が作れたら広告を活用し、新規顧客の獲得も積極的に行っていきましょう。
イートイン・外食のメリットとデメリット
他の業態にはなく、イートイン・外食ならではのメリットとデメリットがあります。飲食業界で開業を考えている方は、それらを踏まえた上で開業の検討をしましょう。
メリット
①出来立ての商品を提供できる
イートイン・外食の場合、店舗で調理した商品を温かいまま顧客に提供することができます。
やはり出来立てが一番美味しいので、テイクアウトよりも顧客のファン化に繋がりやすいです。
②商品の追加購入につながる
イートイン・外食では、顧客は気になった商品をすぐに注文することができるので、追加購入してもらえるメリットがあります。
そのため、テイクアウトなどの業態よりも客単価が高くなりやすいです。たとえば店内飲食で1500円を支払うのと、テイクアウトで1500円を支払うのとでは、一般消費者にとって後者の方が高価に感じることが多いです。
③イートイン・外食ならではのメニューが作れる
テイクアウトの場合、まず考慮するのが、
- 持ち帰りに適している商品かどうか
- 冷めても美味しく食べられるかどうか
なので、イートイン・外食ほど商品メニューに自由がききません。
一方イートイン・外食であれば自由度が高く、出来立てを提供できるので顧客にその商品の最大値の美味しさを堪能してもらうことができます。
デメリット
店舗営業の場合、厨房より客席スペースの方が広い場合が多く、家賃や光熱費、人件費などの大きな固定費がかかってきます。
また、開業時に金融機関などから借入をしていれば、業績の良し悪しにかかわらず毎月返済し続けなければいけません。
最近では、イートイン・外食業界での飲食店開業にこだわりのない場合、固定費を抑えるためにゴーストレストランや10坪以下のテイクアウト専門店での開業をする方が増えてきました。
まとめ
やはり料理を召し上がっているお客様の様子を見れるイートイン・外食は、飲食店オーナーとしては嬉しいものです。
しかし、この記事で紹介したようにイートイン・外食にはメリットだけではなくデメリットもあることをきちんと理解しておきましょう。
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