「飲食店で働いているが将来的に独立して自分の店を持ちたい」「飲食の経験はないが経営してみたい」そうお考えの方はたくさんいらっしゃるでしょう。
ただし、飲食店の経営は簡単ではないのも事実です。一説によれば、開業3年以内に廃業する飲食店は70%ともいわれています。
いったい飲食店の経営者になるには、どのような能力が必要とされているのでしょうか?
この記事では、飲食店の経営に必要な能力と向いている人について詳しく説明します。『自分には飲食店経営の資質はあるのか?』とお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
飲食店の経営者に必要な能力とは
飲食店を経営するには、さまざまな能力が求められます。その中でもとくに重要視されるのは、次にあげる5つの能力でしょう。
①経営力
経営者にとってなによりも大切な能力は、「経営していく力があるかどうか」です。
飲食店の経営には調理だけではなく、事業計画や資金調達から日々の金銭管理や在庫管理まで、本当にさまざまな問題が立ちはだかります。
これらの問題に対してトータルで考えられる力が必要となります。
「行き当たりばったりでも何とかなる」「いい料理さえ出していればお客さんは来てくれる」こういった考え方の人は、経営者には向いていないでしょう。
②行動力
経営者は自店を繁盛させるためにはどうすればいいか、日々考えて動かなければなりません。そのための知識を得ようとすらしていないのは論外ですが、知識だけ得ても実行しなければ同じようなものです。
セミナーや勉強会に出る、競合店調査に行くなども行動力といえばそうですが、それだけで終わらせずにもう一歩先の行動までが経営者には求められます。
自分から動く経営者であれば、従業員も信頼してついてきてくれます。
自分で考えスピード感をもって自ら動ける力が、経営者には必要です。
③決断力
店舗を運営するうえで、慎重な判断をくだすのは悪いことではありません。しかしながら慎重になるあまりタイミングを逃すと、時流に乗れず売り上げをあげられないこともあり得ます。
資金調達やクレーム対応などはすぐに決断して行動に移さなければ問題が大きくなり、経営に影響の出る問題も多々あります。
このあたりを先延ばしにしたり人任せに空いたりしているようでは、経営は務まりません。
ここぞというときの決断力は、店舗経営者にとって大切な能力といえるでしょう。
④コミュニケーション力
店舗経営は自分一人だけの力ではなく、顧客、取引先、従業員すべてによって成り立っています。ワンマンですべてやっていこうとしても、周囲の協力がなければ運営は不可能です。
関係者と上手にコミュニケーションを取り、よい意味で周囲をまきこめる能力があると運営はうまくいきます。
人の話に耳を傾け、うまく人を動かせる能力があれば経営はうまくいくでしょう。
⑤体力
経営者は仕事時間が不規則で付き合いも増えるため、不摂生な生活になりがちです。だからこそ自分の身体には気を使い、基礎的な体力はつけておくべきでしょう。
経営者である自分が体調不良などによって休んでしまうと、売上や経営に直接影響します。
自分の健康対策はおろそかになり後回しにしがちですが、「経営者の体調不良は周囲に大きく影響する」というのを忘れないように心がけるのが大切です。
飲食店の経営者に向いている人の特徴とは
飲食店の経営には、向いている性格があります。ただしこのような性格でなければ、飲食店の経営ができないわけではありません。
しかし下記で解説するような思考を持っていない場合は、店舗を運営する上で苦労してしまう可能性が高いでしょう。
責任感の強い人
責任感は、経営者にとって大切な要素です。問題が起きた際に責任を他人になすりつけるような人には、周囲はついてきません。
だからといって人に任せず、すべて自分で抱え込むのも責任の取り方として間違っています。
自分がすべての責任を負いながら人に仕事を任せることで、スタッフも育ちますし信頼も生まれます。
自分が経営者であるという自覚を持ち、かかわる周囲の人達に対して自信と責任をもって接するのが大切です。
計画性がある人
集客や収益の目標の綿密な計画を立て、それをクリアするにはどうすればよいか考えるのが経営者には必要です。
行き当たりばったりで経営を進めていては目標もあいまいになり、思うような売り上げがあがらないのも致し方ありません。
いい加減な性格であれば支払いや締め切りなど守られないなども考えられ、信用問題につながります。
スケジュールや戦略を綿密に立てて必要なことを順序だててコツコツとこなせる性格の方は、経営者に非常に向いているといえます。
メンタルが強い人
飲食店を経営していれば
- 売り上げが思うように上がらない
- クレームがきた
- 従業員が定着しない
など日々いろいろな出来事があります。それに対して、いちいち一喜一憂している場合ではありませんし、そんな時間はありません。
問題が起きた際に落ち込まず、原因と対策をいち早く前向きに考えられるメンタルが経営者には求められます。
サービス精神が旺盛な人
どのような商売においてもいえますが、基本的な考え方として「人の役に立つ」ことで成り立っています。自分本位な考え方を相手に押し付けるのでは、商売は成り立ちません。
スタッフや仕入れ先に対しても同様で、横柄な態度を取らず喜んでもらえるような対応をすれば店舗運営はうまくいくでしょう。
「どうすればお客さんは喜んでくれるのか」、「喜んでもらえないのは何が原因なのか」などを一生懸命考えて実行するのが苦にならない方は、店舗経営に向いています。
柔軟な考え方ができる人
今までの伝統や自分のやり方にこだわるあまり、失敗しても人の意見を聞かないのは経営者として問題があります。
よい意見に対して柔軟に取り入れ臨機応変に対応する考え方を持っている方が、経営者としてうまくいきます。ただし優柔不断に人の意見をなんでも取り入れるのではなく、正確な判断力は必要不可欠です。
なにが正しいのか取捨選択でき、想像力をもって物事に取り組める方は、経営に向いているでしょう。
飲食店を経営するためにするべきこと3つ
飲食店の経営者となるにあたってどのようなことをすればよいか、3つのポイントをあげてみました。
①マネジメントの知識を得る
- 店舗オペレーションの方法
- 人材管理の方法
- 競合調査の方法
上記のような店舗マネジメントの知識をつけておけば、店舗経営に役立ちます。店舗経営は自分一人の力だけでは成り立ちません。
オペレーションのマニュアル化、優秀な人材の確保など、うまく店舗を回せる能力が必要となります。
セミナーなどに参加し座学で学ぶ、飲食店へ勤めて実践的に学ぶなど、自己資金と時間を考慮して実行しましょう。
②店舗経営に必要な知識を学ぶ
飲食店の経営では、調理以外に必要となる知識がたくさん出てきます。
- 資金調達はどうするのか
- 物件選びはどうすればよいか
- 必要な資格はなにか
- 経理や財務の管理は
資格や経理については有資格者にお願いすれば解決できるため、すべてを完璧に身につける必要はありません。ただし何も知らないというのでは、経営者として問題があります。
有識者に学ぶ、自力で勉強するなどして、ある程度の知識はつけておく必要があるでしょう。
③取扱商品についてのプロになる
経営者に原材料や提供する商品の知識がなければ、お客様は納得しませんし信用も得られません。
最低でも自分の店で扱っている商品はどういうもので、産地はどこなのかくらいは説明できる知識は必要です。
できるなら産地へ訪れる、製造されている現場を見るなど、生産者の思いまで伝えられると他店との差別化にもつながるでしょう。
まとめ
飲食店を経営するには、もちろんやる気が一番大切です。ただし、気持ちを持っているだけでは店舗経営はうまくいきません。
経営に必要な知識や能力がなければ、成功させるのは難しいでしょう。
しかし知識や能力は、努力であとからつけられるものでもあります。自分に足りないところがあれば意識して獲得することで、経営を成功に導けるようになるでしょう。