これから独立したい方、新規出店を検討する法人様に向けて、飲食店の独立・開業で成功している経営者にインタビューするコーナーが始まりました。
記念すべき第一回は『株式会社ミナデイン』の代表『大久保 伸隆』様(以下、大久保さん)にお話を伺います。
編集者
大久保さん、今日はよろしくお願いします!
大久保
さんよろしくお願いします!
【大久保 伸隆 様 プロフィール】
1983年生まれ。千葉県出身。大学卒業後、不動産会社を経て、2007年エー・ピーカンパニー入社。店長を務めた店舗は記録的な繁盛店に。営業本部長などを経て、2014年には副社長に就任。アルバイトをやる気にさせる独自の経営モデルは「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」などに紹介される。2018年6月に退社。同年7月にミナデインを設立し、代表取締役に就任。現在は「烏森百薬」(東京・港区新橋)、「里山transit」(千葉・佐倉市ユーカリが丘)などを経営。飲食店の経営を通じて、まちづくりのプロデュースに乗り出す。著書に「バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する」(幻冬舎)
参考:株式会社ミナデインHP
協業相手のポイントは「長期目線でビジネスを見れるか」
編集者
「塚田農場」などを展開するエー・ピーカンパニーの副社長として活躍し、現在は独立。 直営店を経営するほか、「まぼろし商店」「絶メシ食堂」といった独自の取り組み、まちづくりのプロデュースなど多岐にわたる事業を手掛ける大久保さん。 どのような基準でやりたいことを決めているのでしょうか?
大久保
さん直営店は新橋にこだわって出店しています。それ以外、FCの出店やプロデュースは、信頼できる協業先がいる場合に行いますね。
編集者
大久保さんが一緒に「信頼できる」と思うのはどんな協業先ですか?
大久保
さん同じ時間軸でビジネスをとらえられる人ですね。 当社は10年、20年単位の長い時間軸でビジネスを展開したいと考えています。10年かけて強いブランドや業態を作り、その地域にどういう食文化を根付かせるのかを大切にしています。 数年の短いスパンで投資回収を目指すような方とは、相性はよくないかもしれません。
長期目線で考えるからこそ、「古い街」でビジネスを展開したい
編集者
なるほど。では、直営を新橋にこだわるのは何故ですか?
大久保
さん先ほどの話と共通してくるのですが、大前提として、僕の中に「古い街で店をやりたい」という思いがあります。 新橋は、再開発が進む霞が関や虎ノ門に囲まれながら、昭和の面影を残す旧市街。街は、時間を重ねて古くなるほどに価値が生まれると思います。 長い時間軸でビジネスを考えているということは、つまり、長い時間をかけてその街に根付く店を作りたいということです。 そのためには、流行り廃りに左右されない歴史ある古い街での展開が必要なんです。
編集者
新橋以外の「古い街」で、気になるところはありますか?
大久保
さん気になっているのは広島の尾道。 戦時中、被災を免れた地域なので古い町並みがそのまま残っていて、歩いているだけで楽しい。 他には、都内なら築地や、それこそ日本の歴史の中心だった京都こそまさに「古い街」ですし、東北地方にもまだまだ知られざる街があると思います。 そういった地域で5店舗程度を展開しているオーナーさんとFCやプロデュースで組めたらいいですね。
「協業先とともに長い時間軸でビジネスを展開していきたい」という大久保さんによるプロデュースについてはこちら
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店づくりに必要なのは「コンテンツ」と「コミュニティ」
▲ミナデイン直営トップシェフレシピのセレクトショップ「STAND BY Mi」
編集者
数々のヒット業態を生み出してきた大久保さんですが、業態を考えるうえで大切にしていることは何でしょうか?
大久保
さん「コンテンツ」と「コミュニティ」の2つです。 「コンテンツ」というのは、商品やコンセプトのこと。お客様の興味を引くような、目新しさや面白さがあることがまずはお店として大切です。
編集者
大久保さんが商品を考えるときに重視していることは何ですか?
大久保
さん商品開発に関しては、「定番のアップデート」をテーマにしています。唐揚げや餃子など、誰もが食べたことのあるものは味の比較がしやすい。 例えば、アジフライも誰もが知るアイテムですが、流通している多くは冷凍モノです。 生のアジから揚げたアジフライは身がふわふわで美味しいんですが、食べたことのある人は少ないのではないでしょうか。 当社の商品は、こういったわかりやすい違いを感じてもらい、小さな感動を与えることを意識しています。 狙うのは「ちょっと美味しい」。目指すのは、何回食べても飽きない味です。
編集者
一方の「コミュニティ」については如何ですか?
大久保
さん「コンテンツ」がモノだとしたら「コミュニティ」は人間的な部分。現場の運営力やチーム力など。 商品がどんなに良くても、それを扱うヒトの部分が足りなくては価値が伝わりません。その部分はしっかりと見ますね。
編集者
商品やコンセプトはもちろん、運営力やチーム力もしっかりと重視するのは、「塚田農場」でアルバイトのモチベーションを上げる仕組みを作ってきた大久保さんらしいです。
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コロナや後継者不足で廃業する飲食店の味を再現!「まぼろし商店」
編集者
コロナ禍で取り組んできたことを教えてください。
大久保
さん通常営業ができなくなったことで、テイクアウトやECに挑戦する飲食店も多かったと思います。 しかし、その分野にはその分野のプロフェッショナルがいるので、下手に手を出したところで叶わないと考えていました。 そうではなく、当社だからこそできることをやろうと考え、その結果として「まぼろし商店」があります。 コロナの影響やもともとの後継者不足の問題があり、いま多くの老舗が廃業の危機にさらされいます。長年にわたり多くの人に愛されてきた店を失うのは惜しい。 そこで、廃業した店のレシピを譲り受け、それをライセンスで様々な店で提供するというもの。店がなくなったとしても同じメニューを楽しめると喜んでいただいています。
編集者
なぜ「まぼろし商店」をやろうと思ったのでしょうか。
大久保
さん先ほど述べたように、私達は長い時間軸でビジネスを意識している。それはコロナでも変わりません。 コロナ禍でそんな当社にできることは、長い時間にわたり培ってきた老舗の価値を残したいと「まぼろし商店」の構想が浮かんだんです。
編集者
「まぼろし商店」の特徴を教えて頂けますか?
大久保
さん「まぼろし商店」ならではの特徴は、その店のレシピだけを受け継いでいることです。 閉店しそうな老舗をそのまま事業継承しようとすると、M&Aになるので金融機関が絡んできますし、結果として違う店になってしまう危惧がありました。 とはいえ、ただ商品を提供するだけでは、老舗が持つ雰囲気を伝えられない。飲食店の料理はそういった雰囲気込みで「美味しい」と感じるものです。 その店の商品だけでなく、店全体に漂う雰囲気ごと提供するため、自社でメディアを作ってその店を紹介する記事や動画コンテンツを用意し、店のストーリーを伝えています。 現在は廃業する店のレシピを集めつつ、その味を提供する飲食店も募集しています。
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DXが進む飲食業界、その課題とは?
編集者
いま飲食業界では「DX」(digital transformation:情報技術が浸透することによってもたらされる変革)が話題になっていますが、大久保さんが考えていることがあれば教えてください。
大久保
さんおっしゃる通り、いま飲食の領域でもさまざまなITサービスが登場しています。 ただ、それらについて感じる問題は、どこまでをDXすべきか、どこまでをアナログのままにするのかをはっきり理解できていないことだと思います。 いまのDXは便利さとコミュニケーションが相克の関係になっている。それを創発の関係にできるように考えていくことが課題だと思います。 2023年、虎ノ門に新しく直営店を出店しますが、そこでは積極的にDXを活用した店づくりをしたいと考えています。
編集者
大久保さん流のDXが見れるのは楽しみですね! 新店舗、楽しみにしています。本日は貴重なお話をありがとうございました。
大久保
さんこちらこそありがとうございました!フーズルートを通じてのお問合せもお待ちしています。