1978年、兵庫県尼崎市に1号店を出店して以来、店舗数を増やしてきた焼鳥チェーン「やきとり大吉」。
一切の直営店を持たずに個人を対象としたFC店舗のみを展開する独自システムで、現在は全国に約600店が営業中。
飲食店の閉業が相次ぐコロナ禍においても撤退が少ないブランドとして運営体制の強さに注目が集まっています。
今回は、「やきとり大吉」グループを運営するダイキチシステムの東京本部本部長・池努(いけ つとむ)さんから、ブランドの強みや長期に渡る持続的な運営ができるFCの秘密を伺いました。
初期費用・固定費の低さと、競合をつくらない地域密着型の小規模運営スタイルが強み
編集者
創業から44年。長きに渡り多くの加盟店を運営するダイキチシステムはコロナ禍でも強いFC業態として注目されています。ズバリ、その秘訣はなんなのでしょうか?
池
さん私たちが作りたいのは短期間で爆発的に売り上げる大繁盛店ではなく、長期間に渡って商売を続けていく地元密着の店です。 そのためには、まず小型店舗であり続けることにこだわりがあります。 ロイヤリティは売上に対するパーセンテージではなく毎月固定の金額に設定。 物件は広さ10坪程度、家賃15万円以内のものに絞って選びます。 固定費を抑えれば、日ごとに売上の増減があっても安定的な商売を続けていけます。だから、売り上げた分の利益がちゃんと店主の手元に残る。その方が店を続けていくモチベーションが高まるはずです。 さらに、敢えて小さく作るのは「競合店舗と争わない」という狙いもあります。 「やきとり大吉」は基本的にカウンター席を中心とした10坪20席程度。競争の激しい大人数の宴会利用の取り込みを狙っていません。 立地も住宅街など飲食店としては2等立地と言われる場所に限定し、地域密着型の店を作っていく。地元のお客さまが一度来店して、何度もリピートしてくれる店。 これが流行りに左右されず、一番長続きする店なのではないかと思います。
編集者
ロイヤリティが固定というのは、加盟者のモチベーションになりそうですね。実際に、加盟金はどれくらいかかるのでしょうか?
池
さんまず、「やきとり大吉」のFC加盟の仕組みには、 ①リース方式 ②エリア指定リース方式 ③オーナー方式 の3つの開業プランがあります。 「リース方式」は、本部が店舗を作り、そこを2年更新の契約で借りていただく方式です。 初期費用は、加盟金の157万円に備品代など開業時の実費を合わせて合計250万円~の設定。 開業後は、店舗家賃と使用料、ロイヤリティなどを本部へお支払いいただきます。 また、出店場所は本部が指定するため、応募資格としては「転居が可能」ということも条件のひとつです。 新しく登場した「エリア指定リース方式」では、リース方式で開業し、2年間スキルを磨き、ご本人が希望する地域で開業するプランです。 契約移行時に別途保証金を300万円納付いただきます。 「オーナー方式」は、ご自身の希望する立地で出店するプランで、初期費用は1500万円~の設定です。 どの方式でも開業前に3ヶ月間の実店舗での研修があり、基本メニューのレシピを始め、接客やオペレーションなど運営に必要な知識を身に着けてもらいます。 リース方式では、業務用冷蔵庫やエアコンなどの設備も店舗ごとお貸し致します。 オーナー方式では、それらの設備も開業費用に含まれています。取引酒販店などは本部指定です。 開業後は私たち本部が店舗の運営状況を確認してサポートを続けていきます。
編集者
初期費用に関しても、一般的なFCと比べて低く感じますね。
池
さんやはり、飲食店開業で大きな壁となるのは初期費用の高さです。 まず、そのハードルを下げることで飲食店開業の夢を多くの方に叶えていただきたいと考えています。
飲食店初心者でも独立開業を可能にする、研修とアフターフォロー体制
編集者
3つの開業プランのどれも研修を受けることができるとのことでしたが、具体的にはどのようなことをするのでしょうか?
池
さん本部の指定した店舗で行う3ヶ月間の研修のなかで、飲食店の基礎から店舗運営のノウハウまでお伝えします。 特に、FC加盟される方の中には飲食店初心者も多いため、仕込みや焼きといった調理に関わるものはもちろん、身だしなみ、衛生管理、声の出し方といった飲食店で接客をするうえでの基本的な心構えも力を入れてお伝えしています。 接客を例にあげてみると、例えば、カウンターに座ったからといって、その方が店員と積極的に話をしたいとは限らない。逆に、メニューよりも店員との雑談が好きな人もいるかもしれません。 そういった、お客さま一人ひとりに合わせた接客というのも、この研修で学んでいただきたいですし、開業後も「お客様目線」の意識を大切にしてもらいたいですね。 「やきとり大吉」の店舗はカウンターからすべての席が見渡せるような設計にしていますが、それでも開業間もない店主がすべてのお客さまに目配りをするのは至難の業。忙しくなれば、視野が狭くなります。 ですので、開業1ヶ月ほどの期間は、敢えていくつか席数を減らして営業し、すべてのお客さまに余裕を持って接客できるまで、徐々に慣らしていきます。
編集者
リピーターを増やすための接客を学ぶというわけですね。他にも、開業後に本部からのフォローなどはあるのでしょうか?
池
さん店舗に連絡したり、時には顔を出したりして店主さんの様子をウォッチし、私たちの思う店づくりから離れそうな様子があれば、声をかけるようにしています。 というのも、飲食店は、毎日同じことを繰り返す仕事です。 どれほど真面目な店主でも、続けているうちに少しずつズレが生まれてくる。 そんな、本人だけでは気付きにくいオペレーションの問題を、私たちがアドバイスすることで気付いてもらう。そして、私たちとの会話を重ねる中で改善方法をご自身で考え、答えを出してもらう。 私たちは、あくまで自立自走の補助に徹し、店主さん自身が永く店を続けていくための力をつけてもらいたい、と考えています。
真面目に日々の営業を積み重ねていくことが、長期に渡る運営の秘訣
編集者
では最後に、どのような人に加盟店オーナーになってほしいと思いますか?
池
さん「小さく始めて、堅実に永く続ける」。 私たちのこの仕組みと考えに賛同してくれている方ですね。 毎日、やるべきことをひたすら真面目に取り組むことができる人が成功すると考えています。 例えば、私たちは各店舗の入店時間を店主さんに自由に決めてもらっています。だから、営業前の過ごし方は好きなようにしてもらっていい。 朝早く仕込みをして、ジムに行ってから店を開けるというルーティンの店主さんもいらっしゃいます。 しかし、営業時間を守れないならば、話が違う。お客さまとの約束を破っているわけですからね。そういった方は、正直、この商売に向いていないと思います。 本部に毎月支払う費用が固定費、ということは自分自身が頑張った分が利益として残るということですが、見方を変えれば「やったことは全て自分に返ってくる」とも言えます。 お客さまの信用を失ったら、自分の首を絞めてしまうことになるんです。 また、ご家族から理解を得られていること。これも重要視しています。 独立開業するということは、一家の大黒柱として家族の人生ごと背負っていくことです。 加えて「リース方式」は転居も条件のひとつです。いわば、FC加盟とともに生活がガラリと変わってしまうということ。ご家族の支えがなければ続けていくことは難しいと思います。 そういった、お客さまに嘘をつかず、ご家族にも理解を得て、真面目にコツコツと商売を続けていく覚悟をお持ちの方に始めていただき、幸せを掴んでいただきたい、と思っています。
★やきとり大吉のフランチャイズ情報★