飲食店に欠かせない設備の一つである換気扇やダクトなどの換気設備。
ただ、必須の設備であるにも関わらず、その重要性について正しく理解している人はそう多くありません。
実際、「換気扇やダクトって絶対に設置しないといけないの?」と感じている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、飲食店における換気扇やダクトなどの換気設備について紹介していきます。
- 換気設備の必要性
- 換気設備の設置方法
- 換気設備を設置する際の費用の目安
などについて紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の換気方法
飲食店における換気方法には、「窓による換気」と「換気設備による換気」という2つの方法があります。
それぞれの換気方法について詳しく解説していきます。
窓による換気
アナログな方法にはなりますが、窓が十分に設置されている飲食店は窓を開放することで換気をおこなえます。
窓が複数用意されている店舗の場合、それぞれの窓を開放して風の通り道を作ってあげれば十分に換気できるでしょう。
しかし、窓からの換気は天候や気温の影響を受けるためおすすめできません。
店舗がある場所によっては、騒音や排気ガスなどの問題も懸念されます。
換気設備による換気
飲食店の換気方法として定番なのが、換気扇やダクトなどの換気設備による換気です。
キッチンに設置された換気扇からダクトを経由して、店舗の外に設置された排出口からにおいや煙、熱気を排出します。
窓による換気のように天候や気温の影響を受けず、キッチンから直接換気できるためお客さんに影響が及ぶこともありません。
害虫の侵入経路になってしまう可能性があるため、対策や定期的な掃除が必要ですが、これから飲食店を開業するのであれば、換気方法は換気設備による換気一択になるでしょう。
換気設備による換気は必須
飲食店の換気方法は、先述した通り窓での換気には限界があります。
飲食店の中で最も換気が必要になるのは調理をおこなうキッチンですが、キッチンに窓が設置されていないという店舗は少なくありません。
これは、キッチンへのゴキブリやネズミなどの侵入を防ぐためです。
キッチンに換気をおこなうための窓がないため、換気設備がなければ十分に換気をおこなうことができず、店舗内に臭いや煙、熱気が充満してしまうことになります。
そうなってしまうとお客さんは食事を楽しむどころではなく、体調が悪くなってしまうお客さんさえ出てくる可能性もあります。
そういったトラブルを未然に防ぎ、お客さんに快適な環境で食事を楽しんでもらうためにも、飲食店には換気設備が必要不可欠です。
飲食店における換気設備
料理する際に発生する熱気や煙を排出する飲食店の換気設備は、
- 防火ダンパー
- 排気フード・フィルター
- ダクト
- 換気扇(排気ファン)
など、さまざまなパーツで構成されています。
換気設備の各パーツの特徴や役割について詳しく解説していきます。
防火ダンパー
防火ダンパーは、換気扇側のダクトの先に設置されているパーツです。
火災が発生したときにダクトの内側が延焼してしまうのを防ぐ目的で設置されており、自動で開閉する弁の役割を担っています。
また、種類も豊富で、煙探知機と連動して作動する防炎防火ダンパーや不活性ガスの消火設備に設けられている防災ピストンダンパーなどがあります。
排気フード・フィルター
排気フードは、換気扇を囲うようにして設置されている不燃性のステンレス板です。
調理の際に発生するにおいや煙を収集し、換気扇とダクトを通して店舗の外へと排出します。
排気フードには油脂を収集するためのフィルターも設置されており、調理場から発生する油脂のほとんどをフィルターで取り除きます。
換気扇やダクトに油脂が付着すると除去するのが大変になってしまうため、フィルターで収集するような仕組みになっています。
ダクト
ダクトは、換気扇を通して収集したにおいや煙、熱気の通り道です。
換気扇によって収集されたにおいや煙はダクトを通って店舗の外へと排出されます。
換気扇(排気ファン)
換気扇(排気ファン)は、収集したにおいや煙、熱気をダクトへと送り出すためのパーツです。
扇風機の羽根のような構造になっており、回転することでにおいや煙をダクトへと送り出します。
飲食店におけるダクトの設置方法
換気設備のパーツの一つであるダクトには、「直出し」と「屋上だし」という2種類の設置方法があります。
それぞれの設置方法の特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
直出し
直だしは、店舗の外壁に穴を開け、そこに換気設備を設置する設置方法です。
ダクトの長さを最小限に留めることができるため、安く設置できるというメリットがあります。
一方、店舗の外壁に設置された排出口からにおいや煙が排出されるため、近隣住民からのクレームやトラブルに発展しやすいというデメリットがあります。
排出されるにおいや煙が一般的に許容できる範疇を超えていると判断されてしまった場合、賠償を求められる可能性もあるため注意しなくてはいけません。
直出しでの換気設備の設置は、カフェやバーといったにおいや煙の発生しにくい飲食店など、店舗のジャンルを選ぶ設置方法になります。
屋上だし
屋上だしは、排出口を屋上に設置する換気設備の設置方法です。
においや煙を排出するためのダクトをビルの外壁にはわせる形で屋上まで設置して、屋上からにおいや煙が排出されるようにします。
屋上だしでの換気設備の設置は、ビルの屋上までダクトをはわせる必要があるためダクトが長くなる傾向があり、大掛かりな工事になるため費用も高くなります。
設置や拡充に数百万円かかるケースも少なくありません。
ただ、においや煙を屋上から排出するため、近隣の住宅に配慮できるというメリットがあります。
屋上だしは、魚料理店や焼肉店、ラーメン店など、強いにおいや大量の煙を発生させる飲食店におすすめの設置方法になります。
換気設備を設置・拡充する際の費用の目安
飲食店を開業する際に換気設備の整っていない物件を選んだ場合、換気設備を設置したり拡充しなくていけません。
換気設備の設置や拡充にかかる費用は、
- 物件
- 依頼する業者
- 工事の内容
など、さまざまな条件によって異なりますが、安い場合であれば5万円ほどで設置、あるいは拡充できます。
一方、近隣の住宅とのトラブルを避けるためにダクトを屋上だしにする場合、300万円近くかかってしまうケースもあります。
換気設備の設置や拡充にかかる費用を抑える方法
飲食店の開業はただでさえお金がかかるため、換気設備の設置や拡充にかかる費用はなるべく抑えておきたいところです。
そこで注目なのが、もともと飲食店として使用されていた物件の設備をそのまま利用できる「居抜き物件」です。
居抜き物件と聞くと、厨房や客席などが注目されますが、換気設備が整えられている店舗も多く、換気設備を設置したり拡充する必要がありません。
そのため、店舗の開業にかけられる予算が限られている場合や初期費用をなるべく抑えたい場合は換気設備の整っている居抜き物件の活用をおすすめします。
まとめ
換気扇やダクトなど、飲食店における換気設備について紹介してきました。
飲食店の換気方法には窓を開放して換気をおこなう方法もありますが、雨の日や冬の寒い時期など天気や気温によって開放するのが難しくなってしまうケースを考えると、窓での換気は現実的ではありません。
換気設備を整え直す場合それなりの費用がかかりますが、すでに換気設備の整っている居抜き物件を利用すれば換気設備の設置にかかる費用を抑えられます。
換気設備は店舗経営だけでなく、近隣住人からのクレームやトラブルを回避する上でも必要になるので、今回紹介した内容を参考にしながら開業準備を整えるようにしてください。