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店舗物件を契約する前に確認すべきポイントと流れについて

お店を開業する物件が決まれば契約へと進みますが、契約書を一枚書くだけの単純なものではありません。はじめて店舗物件を契約する場合は、何から手をつけていいのかわからない方も多いはずです。

そこでこの記事では、店舗物件を契約するまでの流れをご紹介したうえで、事前に確認すべきポイントと費用感について解説します。どのような契約プロセス経て、お店を開業するのか改めて確認しておきましょう。

物件探しから契約までの流れ

契約までの流れ

自身のお店を構えるまでの物件探しから、契約までの流れまでの一般的な流れは以下のようになります。

  • 不動産屋などから物件を探す
  • 物件の申込み
  • 審査
  • 物件契約

申し込みを行ってから契約までの流れの中で、入居審査に最も時間がかかり、一般的に2~7日後に結果が通知されます。そのため、審査の期間を見越して計画を立てるようにしましょう。

物件を契約するまでの工程の詳細をご紹介します。

物件探し・物件選び

物件を契約するには、数ある物件の候補から1つに絞らなければなりません。物件選びはお店を始める上で、重要なステップになります。

この物件を選ぶ段階で「審査に通りやすい物件か」をあわせて判断できます。飲食店不可な物件は審査に落ちても仕方がありませんので、物件選びの段階で弾いてしまいましょう。

物件の内見のポイントや居抜き物件についてはこちらで解説しています。

物件申し込み

物件を決めたら、次に契約申込書を提出します。この時点では、まだ契約は完了していないため、物件を取得したことにはなりません。

不動産業者から契約申込書をいただき、

  • 指名
  • 連絡先
  • 勤務先
  • 年収
  • 連帯保証人

など必要事項を記入し、提出します。これは書類審査となりますが、この段階からも契約相手として相応しいかどうかを不動産業者からチェックされているため、相手が貸主ではないからと雑な対応をとらないように注意しましょう。

次のステップである「審査」に際して、事業内容や財務状況がわかる書類を提出する場合もあるので、事前に用意しておくと安心です。これから事業を始めるため、まだ実績がない場合は、事業計画書や契約者本人の収入・預貯金を確認されることが多いです。

連帯保証人は誰を選ぶべきか

居住用の物件と同様に、家賃が払えない最悪の場合に備えて、契約者本人以外で連帯保証人を確保する必要があります。

両親や兄弟などの家族に依頼するのが一般的ですが、

  • 安定した収入があるか
  • 高額な賃料が支払える収入か

などが確認されます。また同じ店舗で働く従業員も対象外となる可能性が高いため、お店の運営とは別の収入がある方を保証人として選ぶようにしましょう。家族には頼みづらいなど、保証人が見当たらない場合は、「家賃保証会社」に連帯保証人の代わりを依頼するのも一つの手です。

  • 条件によっては、連帯保証人が2名必要になるケースや、数ヶ月分の家賃を先払いすることで保証人を免除してくれるケースもあります。事前に契約内容を確認しておきましょう。

審査

申し込みが通れば、物件の契約相手として相応しいかどうかを審査します。この審査は物件の貸主が申込書や事業計画書を参照し、面談して判断するのが一般的です。

事業計画書や申込書では支払い能力があるかを見られ、面談では安心して物件を任せられる相手かどうかの人柄を見られます。

開業する店舗が飲食店の場合、

  • 飲食店の運営経験
  • 業種や取り扱っている商品
  • 煙や騒音はどの程度か

などを尋ねられる傾向が高いです。貸主に安心感を与えられるよう、これらの点を尋ねられた際はすぐに答えられるようにしておきましょう。

そして、審査される方は単独ばかりではなく、複数の中から選ばれる状況もありえます。そのため、少しでも条件がいい相手がいれば、そちらと契約してしまいます。貸主は滞納リスクや早期の退去を嫌う傾向にあるので、商売の継続性を最大限にアピールしましょう。

物件契約

審査をしてから2~7日程度で結果が通知され、無事、審査を通過できれば契約へと進みます。

契約時には「賃貸借契約書」の締結が必要になり、普段は見慣れない重要な項目がいくつもあります。詳細な契約内容は​​担当者から説明されるので、不明点などがあればこの段階で尋ねておくようにしましょう。

居抜き物件では、賃貸借契約書に加えて、譲り受ける内装設備・オフィス家具などの項目を明示した「造作譲渡契約」も必要となります。

【賃貸借契約書の記載内容の例】

  • 物件店舗の基本情報や契約貸主・借主
  • 店舗契約の更新や解除
  • 店舗の経費
  • 共益費
  • 原状回復
  • 連帯保証人
  • 信義誠実の原則

賃貸借契約書の条件は、貸主側と交渉することもできます。ただ専門的な内容となるため、交渉するためには、事前に賃貸契約書の内容を理解しておきましょう。

  • もし、数週間待っても結果が届かないようであれば、不動産業者へ問い合わせましょう。審査に通過していても通知を忘れてしまっていたり、条件の変更を求められたりする場合もあります。

物件の契約前に確認すること

賃貸契約書

契約を締結する前にはいくつか確認するべき点がいくつかあります。ここからは賃貸借契約で必要となる5つの項目の詳細をご紹介します。

契約期間・更新について

最初に物件の契約期間はいつまでなのかを確認しなければなりません。一般的には

  • 2年
  • 3年
  • 5年

が多いですが、貸主や契約内容によって期間は異なります。更新時期には更新料も発生するので、きちんと把握しておきましょう。

契約期間内に退去した場合は、違約金が発生します。違約金は契約期間を満了していない分だけ高額になるため、最悪の場合は数百万円に登ることもあります。さらに、退去に時はそのほかの退去費用も発生するので、お店の運営業態から適切な契約期間を判断しましょう。

また、解約は事前に告知する必要があり、物件によって期間はさまざまですが、一般的に3〜6カ月前の申告で解約できます。解約を待っている間も出費は嵩むため、1日にでも早く申し入れするようにしましょう。

解約時の条件

一般的に3〜6カ月前の申告で解約できますが、この解約予告期間は、貸主や物件ごとによって期間が変わります。解約の申告が済んで、すぐに退去したとしても、解約予告期間中は賃料を支払う義務があります。

もしもスケルトンにするなどの、原状回復が明記されている場合は、退去する際に大きな資金も加えて必要になります。最終引き渡し日前までに原状回復工事を済ませ、最後に鍵の引き渡しを行います。

居抜き物件で、内装や設備ごと譲渡する場合は「造作譲渡」となり、原状回復が必要なスケルトン物件よりも退去費用が抑えられます。退去予定者と新しい入居者との間で交渉は行われますが、貸主の了承を得るようにしましょう。

  • 保証金は解約時にすべて返金されますが、債務が支払われていない「償却分」は除かれます。

このような解約時の条件もすべて契約時に取り決めるため、慎重に検討しましょう。

賃料の支払い方法

飲食店舗の賃料の支払い方法は

  • 銀行引き落とし
  • 銀行振り込み
  • クレジットカード
  • 持参

の4通りが一般的です。持参については、賃料が滞納した持参債務の時のみに行われることが多いです。引き落としによる賃料支払いで、引落しが遅れたことは通帳に記録されます。運転資金の追加融資を頼む際に、マイナス要素となるので気をつけましょう。

  • 貸主や物件によっては、保証金などの入居費用の分割支払いを受け入れているケースもあります。

そして知っておきたいのが、「物件の貸主が賃料の減額に応じる法的義務はない」点です。支払いが1日滞納したからといって、すぐに差し押さえとはなりませんが、裁判などに発展する事例もあるため、優先的に支払うようにしましょう。

貸主と管理業者

物件でのトラブルが発生した際の連絡先も確認しておかなければなりません。基本的には

  • 不動産会社や管理業者
  • 貸主

に連絡をいれることになります。借入やリースに関わる退去などのトラブルでは、は金融機関への連絡も必要です。

また、不動産契約と造作譲渡契約は別の契約となります。居抜き物件で行われる、造作譲渡契約は、退去予定者と新しい入居者との間で交渉が行われるため、貸主には負う義務がありません。

居抜き物件会社もあくまで「仲介」となるので、契約者も責任の一端を担っていることも理解しておきましょう。

禁止事項・特約の有無

物件契約の一部には「特約」と呼ばれるものが存在します。特約とは、法律用語として使われており、一般的な契約の「オプションとして付け加えられた契約」を指します。

店舗物件の場合は、原状回復義務についての特約が多くみられます。借主は、通常の使用方法で使用した際には生じないような、「壁の穴」や「煙による壁のヤニ」などの損傷を原状回復するのが普通です。

しかし、一部の特約では、建物の経年劣化による損傷や破損などの「通常損耗」も原状回復の義務として含まれることがあります。当事者間による口頭での説明の認識でも合意となるためケースもあるため注意しましょう。

また、特約とは別に「禁止事項」を設けている場合もあります。開業し運転していくにあたり、ご自身の業態で禁止事項に触れるものは無いかを再度確認しましょう。

物件契約にかかる費用

物件契約の費用

物件の契約にはいくつかの費用がかかります。物件を契約するにあたって、どの程度の資金が必要になるかを把握しておくことは大切です。

開業前に必要となる資金には、「物件取得費用」と「設備投資費用」がありますがここでは、物件取得費用についてご紹介します。

敷金・礼金

賃料や原状回復費用など、借主の債務を担保として契約時に敷金・礼金を支払う必要があります。これは保証金と呼ばれることもあります。

居住用の物件でも、1〜2ヶ月程度の敷金・礼金を支払う必要がありますが、飲食店の物件では、賃料の10か月〜2年分の保証金が目安となります。

敷金・礼金が高額に設定されている理由は、「店舗の売り上げ変動によるリスクを回避するため」や「借主が原状回復できない場合の工事費用の担保するため」です。飲食店の開業にかかる費用の中でも大きな割合を占めるため、よく確認するようにしましょう。

仲介手数料

店舗物件の契約で支払う「仲介手数料」は、不動産会社など物件の仲介をしてくれた業者に対し、成果報酬として支払います。賃貸借契約の仲介手数料は、貸主と借主を合わせて、賃料の1ヶ月分が上限と「宅地建物取引業法」で定められているため、あまり高額にはなりません。

しかし、中には借主に対して

  • 情報提供料
  • 広告・企画料

など、仲介手数料以外の名目で徴収していることも多いです。名目の異なる手数料が付いていた場合には、必ず何に対しての手数料なのかを確認をするようにしましょう。

前家賃

前家賃とは、賃貸契約を結ぶときに先払いする翌月分の家賃のことを指します。最低1ヶ月から最大2ヶ月分の家賃(共益費や管理費を含む)を、入居する前に貸主に対して先払いするのが一般的です。

  • 入居時に前家賃として支払った金額分の期間が過ぎてから、賃料が発生します。

月の途中から契約になる場合は、その日から月末までの日割りした金額と翌月分の家賃を合算した額になります。

居抜き物件では3ヶ月分請求されるケースや、フリーレント物件では無料となるなど、条件によっても多少異なります。

手付金

契約の申し込みには、手付金や申込金と呼ばれる費用が必要となります。金額としては、およそ賃料の1か月分が目安で、保証金とまとめて扱われることも多いです。

この手付金は、お互いに契約を簡単にキャンセルさせないために設けられています。「融資が下りなかった」や、「より良い物件が見つかった」などの理由で、解約したい際に手付金を放棄することによって、契約の解除が可能となります。

手付金は物件を仮押さえする際にも発生しますが、金融機関を通して資金調達する場合は貸主によって、手付金なしで抑えられる場合もあるため交渉してみると良いでしょう。

造作譲渡料

居抜き物件を利用する際の契約には、内装や厨房設備を譲り受けるための費用として「造作譲渡料」が必要です。物件の所有者は貸主ですが、内装や設備の所有者は前の借主となります。

譲渡を受ける資産は、主に以下の種類に分けられます。

  • 建物や建物附属設備
  • 器具備品
  • 厨房設備

造作譲渡料は、設備の内装の性能や使用年数ではなく、その物件の立地や集客力によって決まることが多いです。原状回復工事を浮かせる為に0円としている時もあれば、反対に1000万円かかることもあります。

譲り受けたいという人が現れなければ、スケルトン工事をしなければならないため、明け渡し日が近づくにつれて、造作譲渡料は下がる傾向にあります。ただ明け渡し直前まで待ってしまうと、契約を逃す可能性もあるので注意しましょう。

物件契約=オープンではない

契約成立

物件は契約が成立したからといって、すぐに使えるわけではありません。

契約をした段階では、まだ前の借主が入居しているため、引き渡し日まで待たなければなりません。引き渡し日は、1ヶ月前に決まることもあるため、スケジュールをよく確認しておきましょう。

物件がスケルトン状態であれば、引き渡し後の内装工事が必要です。オープンしたい日付が決まっているのであれば、逆算して予定を立てるようにしましょう。

まとめ

物件の契約には注意すべき項目がいくつかあり、見落としてしまうと借りる側が不利になってしまう条件も少なくありません。特に契約にかかる費用は影響が大きく、開業資金も左右されます。

工夫次第では0円に抑えられる費用もありますので、契約書に記載されている内容は慎重に確認するようにしましょう。

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