新型コロナウイルスの影響で衛生観念の意識が高まってきていることもあり、飲食店でも導入されるケースが増えてきているキャッシュレス決済。
ユーザーからのニーズも高まってきていることから「キャッシュレス導入しないとな…」と、必要性を感じている飲食店開業者や経営者も多いのではないでしょうか?
この記事では、お店に導入できるキャッシュレス決済について紹介していきます。
- キャッシュレス決済の種類
- キャッシュレス決済を導入するメリット・デメリット
など詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店が導入できるキャッシュレス決済の種類
「キャッシュレス決済」と一口に言っても、その種類はさまざまです。
キャッシュレス決済の導入を検討しているのであれば、まずはキャッシュレス決済にどういったものがあるのかを把握しておくべきでしょう。
飲食店が導入できるキャッシュレス決済の主な種類としては、4つがあげられます。
- クレジットカード
- デビットカード
- 電子マネー
- QRコード
それぞれ詳しく解説していきます。
1. クレジットカード
電子マネーやQRコード決済が登場する前からキャッシュレス決済の手段として利用されている「クレジットカード」。
「他のキャッシュレス決済を利用していないけどクレジットカードは持っている」という層も多く、スマートフォンなどのデジタルデバイスの扱いに慣れていない高齢層も利用している定番のキャッシュレス決済です。
2. デビットカード
使ったお金が銀行口座からすぐに引き落とされるキャッシュレス決済「デビットカード」。
クレジットカードのように申し込んだ後で審査がおこなわれるわけではないため、クレジットカードを所有できない層にも利用者が多いキャッシュレス決済です。
3. 電子マネー
電子マネーは、お金をスマートフォンや専用のカードにチャージして支払いをおこなうキャッシュレス決済です。
事前にお金をチャージするタイプの電子マネーとしては、
- nanaco
- Suica
- 楽天Edy
などがあげられます。
また、後払いに対応している電子マネーとしては、
- iD
- QUICPay
などが有名です。
4. QRコード決済
QRコード決済は、スマートフォンに表示されたQRコードやバーコードを読み取ることで支払いをおこなうキャッシュレス決済です。
自分のスマートフォンに表示されたコードを店舗側で読み取ってもらって決済する方法と、店舗側が表示するコードを読み取って決済をおこなう方法のいずれかで支払いをおこないます。
電子マネーのように事前に現金をチャージする必要はありませんが、クレジットカードや口座の登録が必須となります。
代表的なサービスとしては、
- 楽天ペイ
- d払い
- PayPay
などがあげられます。
飲食店がキャッシュレス決済を導入するメリット
導入する店舗が急増しているキャッシュレス決済ですが、導入することでどういったメリットが期待できるようになるのでしょうか?
飲食店がキャッシュレス決済を導入する主なメリットとしては、以下の6つがあげられます。
- ユーザーのニーズに対応できる
- 外国人観光客の集客につながる
- 現金の受け取りや受け渡しでのミスが減る
- 防犯対策になる
- 会計の手間が省ける
- 衛生面への対策につながる
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
ユーザーのニーズに対応できる
海外に比べてキャッシュレス決済の導入に出遅れてしまっている日本ですが、それでもキャッシュレス決済の利用者は増え続けています。
消費者庁が公表しているデータによると、日本のキャッシュレス決済比率は29.7%となっています。
参考:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/meeting_materials/assets/internet_committee_211012_0002.pdf
こちらは2020年のデータなので、今はさらにその比率が上がっているはずです。
このように、キャッシュレス決済へのニーズは着実に高まってきています。
今後さらに高まっていくであろうユーザーのニーズに対応するためにも、キャッシュレス決済を導入する必要があるのです。
外国人観光客の集客につながる
新型コロナウイルスの影響で落ち込んでしまってはいるものの、日本には毎年多くの外国人観光客が訪れます。
キャッシュレス決済の導入は、それら外国人観光客の集客にも大きな効果を発揮してくれます。
日本はキャッシュレス決済の後進国でまだまだ現金での決済が主流ですが、海外では現金決済とキャッシュレス決済の比率が半々という国も少なくありません。
支払いのほとんどをキャッシュレス決済でおこなっている国もあるほどです。
キャッシュレス決済を導入しておけば、現金を持ち歩く習慣がない外国人観光客のニーズにも対応できるようになります。
現金の受け取りや受け渡しでのミスが減る
現金での支払いでは、釣り銭の渡し忘れなどの人為的なミスが発生してしまいがちです。
支払いに関するミスはお店の評判に直結しやすいため、細心の注意を払う必要があります。
ただ、ランチ時や週末など、忙しいときは疲れから注意が散漫になり、どうしてもミスが発生しやすくなるでしょう。
一方、キャッシュレス決済を導入すれば、支払い時の人為的なミスの抑制が可能になります。
「お客さんが注文した商品とは異なる商品を伝票に打ち込んでしまう」など、会計時の対応で防げないミスもあるため、人為的なミスをゼロにできるわけではありませんが、お金の受け取りや受け渡しによるミスは発生しなくなるでしょう。
防犯対策になる
店舗の売上は銀行に振り込むまでの間、店舗に保管しておく必要があります。
現金のみで支払いを受け付けている店舗の場合、保管しておく金額が多くなってしまいかねません。
そこで生じるのが、現金を盗られたり奪われてしまうリスクです。
繁盛している店舗や規模の大きな店舗は狙われやすくなるため、リスクも大きくなります。
キャッシュレス決済は、こういった犯罪に対しての防犯対策としても一定の効果を発揮する優れものです。
キャッシュレス決済を導入して利用するお客さんが増えると、店舗に保管する現金も少なくなります。
現金を奪われてしまうリスクがゼロになるわけではありませんが、被害を最小限に食い止められるはずです。
会計の手間が省ける
キャッシュレス決済を導入するとお金の受け渡しをおこなう必要がなくなるため、会計時のオペレーションが簡素化されます。
一回あたりに省ける手間は微々たるものですが、会計する機会が多くなればなるほど省ける手間と時間も多くなっていきます。
お客さんの待ち時間の削減にもつながるため、来店が多く繁盛している店舗であればあるほど大きなメリットになるでしょう。
衛生面への対策につながる
新型コロナウイルスが流行している今だからこそのメリットとしてあげられるのが、衛生面への対策につながる点です。
現金での支払いでは金銭の受け渡しが必要になるため、どうしても衛生面でのリスクが生じてしまいます。
お金は多くの人の手に触れるものなので、金銭の受け渡しを通して感染してしまう可能性もゼロではありません。
キャッシュレス決済を導入した場合であっても、金銭の受け渡しがゼロになるわけではありませんが、現金を触れる機会が減ることで感染リスクの抑制につながります。
接触を少しでも減らす目的で現金使用を控えているお客さんもいるため、そういった方へのアピールとしても効果を発揮してくれるでしょう。
飲食店がキャッシュレス決済を導入するデメリット
導入することでさまざまなメリットが期待できるようになるキャッシュレス決済ですが、デメリットがないわけではありません。
飲食店がキャッシュレス決済を導入する主なデメリットとしては、次の4つがあげられます。
- 導入するのに手間がかかる
- 導入するのにコストがかかる
- 手数料がかかる
- 現金化のサイクルを把握する必要がある
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
導入するのに手間がかかる
キャッシュレス決済は導入して利用できるようになるまでに時間と手間がかかります。
導入までの流れは導入するキャッシュレス決済によって異なりますが、人気のキャッシュレス決済「PayPay」を導入する場合、以下の工程をこなさなくてはいけません。
- 必要な書類を揃える
- 申し込む
- 審査を受ける
- キットが届く
- 届いたキットを設置する
審査が完了してからキットが店舗に届くまでには一週間ほどかかります。
また、キットが届いた後もやるべきことがたくさんあります。
- アカウントの作成
- 口座情報の登録
- 店舗情報の登録
- テスト決済
さらに、キャッシュレス決済を利用したいお客さんが来店した際、スムーズに対応できるようにするため、スタッフに対する研修もおこなわなくてはいけません。
導入して取り扱いに慣れてしまえば会計の手間は省けるものの、そうなるまでに時間と手間がかかるということは認識しておく必要があります。
導入するのにコストがかかる
キャッシュレス決済の導入には時間や手間だけでなく、コストもかかります。
導入時のコストは導入するキャッシュレス決済のサービスによって異なりますが、最低でも3万円程度はかかると考えておくべきです。
導入するサービスによっては、端末代だけで5万円ほどかかる場合もあります。
個人で経営している飲食店の場合、3~5万円は決して安い金額ではありません。
導入によって売上の向上が見込めるとは言え、多少のリスクになります。
ただ、最近はキャッシュレス決済へのニーズが高まってきているということもあって、導入にお金がかからないタイプのサービスも増えてきています。
期間限定のキャンペーンをおこなっているサービスも多いので、気になるサービスがあるのであればホームページをチェックしてみてはいかがでしょうか?
手数料がかかる
キャッシュレス決済を導入すると毎月の利用金額に応じて手数料の支払いも発生します。
手数料は数%に設定されているものがほとんどですが、売上に応じて金額が変動するため、初期費用よりも手数料に対する負担の方が大きくなると考えておかなくてはいけません。
人気のキャッシュレス決済の手数料は、以下のとおりです。
サービス名 | 手数料 |
---|---|
AirPAY | 3.24~3.74% |
Square | 3.25~3.75% |
PayPay | 1.6~1.98% |
楽天Pay | 3.24~3.74% |
STORES決済 | 1.98~3.74% |
例えば、キャッシュレス決済を介した月の売上が500万円だった場合、その月は10~20万円ほどの手数料が発生することになります。
キャッシュレス決済を介した月の売上が増えれば増えるほど支払う手数料の金額も多くなるため、利用する上で大きなデメリットになるでしょう。
現金化のサイクルを把握する必要がある
キャッシュレス決済は、その場で現金を受け取ることができません。
一旦支払いが完了した後、指定した口座にその支払いが入金されるまで待つ必要があります。
そこでネックになるのが「入金サイクル」です。
決済が完了してから口座にお金が振り込まれるまでの入金サイクルは、それぞれのサービスによって異なります。
人気のキャッシュレス決済の入金サイクルは以下のとおりです。
サービス名 | サイクル |
---|---|
AirPAY(みずほ・三菱UFJ・三井住友) | 月6回 |
AirPAY(その他の金融機関) | 月3回 |
AirペイQR | 月末締めの翌月末1回払い |
Square(みずほ・三井住友) | 決済日の翌営業日 |
Square(その他の金融機関) | 毎週水曜日締め、同じ週の金曜日払い |
PayPay | 月1回※早期振込サービスあり(有料) |
楽天Pay(楽天銀行) | 翌日 |
楽天Pay(その他の金融機関) | 要振込依頼 |
STORES決済(自動入金) | 月1回 |
STORES決済(手動入金) | 依頼後1~2営業 |
それぞれのサービスによって入金サイクルや入金のシステムが異なるため、どういったタイミングで入金されるのかをしっかりと把握しておく必要があります。
まとめ
キャッシュレス決済の導入の概要や導入するメリット・デメリットについて紹介してきました。
キャッシュレス決済の導入には手間と多少のコストがかかります。
また、月々の手数料が発生することも覚えておかなくてはいけません。
しかし、それ以上のメリットをもたらしてくれる便利な決済方法でもあります。
そして何より、ニーズに対応してより多くのユーザーに店舗を利用してもらうためにも、なるべく早く導入するべきです。
現金を持ち歩かないユーザーを店舗に呼び込むためにも、導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?