一人で起業することは可能です。経営者と実務を行うワーカーを兼任すれば、ひとり起業でき、経営に関する意思決定が早くできます。また自由度が高く、メリットの多い起業方法です。
ただし、ひとり起業した場合、一人で全ての業務をこなさなければなりません。事業を成功させるためには、押さえておくべきポイントがいくつかあります。
この記事ではひとり起業のメリットやデメリットのほか、ひとり起業に向いている3つのビジネスモデルを紹介すると共に、リスクを回避するためのポイントを解説します。
一人で起業するメリット・デメリット
一人で起業することで期待できるメリットと、さらに注意すべき点を具体的に確認していきます。
メリット
- 意思決定が早く小回りがきく
- 開業資金が少なくても開業可能
- 経験値やスキルが高まる
意思決定が早く小回りがきく
事業にかかわる全てを自分の意志で決定できます。
例えばどんな事業で起業し、どのように事業を展開するかといったことから、サービスや取り扱う商品の選定、営業する場所、営業日や休業日まで、自由に決定することが可能です。
移り変わりの激しい現代社会で事業をするにあたっては、意思決定のスピード感は重要です。素早い判断ができればできるほど、訪れたチャンスを掴める可能性が高まります。
意思決定に際して複数人で相談する時間も手間も不要なひとり起業は、現代のビジネスシーンに適した起業のスタイルです。
開業資金が少なくても開業可能
ひとり起業の場合、最小限の開業資金で事業を始めることができます。開業に最もコストがかからないのは、個人事業主として開業する方法です。
個人事業主の場合、税務署での開業手続きに費用がかかりません。事業運営の形態を工夫して設備投資をはじめとする費用を抑えることができれば、最小限の資金で起業できます。
少ない開業資金で起業できれば、用意した資金の一部を開業後の運営資金に充当することもできます。
起業しても、すぐに利益が見込めるとは限りません。手元の資金に余裕を持たせることは重要です。少ない開業資金で起業すれば、ゆとりを持った事業展開ができます。
経験値やスキルが高まる
事業を展開するためには、経営者としての業務だけでなく会計業務やマネジメント、広報、営業、といった幅広い業務が必要です。ひとり起業なら、これら全ての経験値を得ることができます。
事業が拡大していく過程では従業員を雇って業務を任せたり、アウトソーシングを活用して外注したりといった展開も考えられます。
しかし積み上げた経験は資産です。業務内容を熟知していれば、業務を委託する際の管理能力を高める効果に繋がります。
事業に関わる全てを経験しておくことは、経営者としての資質を向上させるために有意義です。
デメリット
大きなデメリットは、負担が大きいという点です。経営から営業活動、金銭面の管理まで、全て一人で行うのはスキルの面、また時間や労力を考慮すると、決して容易なことではありません。
特に経営のスキルは、書籍で勉強しただけで容易に身に付くものではありません。事業の成否を大きく左右するため、コンサルタントや知識と経験を持った先輩によるアドバイスを受ける必要があります。
事業に関わる全ての業務を完璧にこなし、知識を常に最新にアップデートするのは、困難を極めます。
全てを一人で抱え込むのではなく、必要に応じて外注し、それぞれの専門家を頼ることが、ひとり起業を成功させるために大切なポイントです。
一人で起業するならフランチャイズがおすすめ
起業する方法にはさまざまな種類があります。その中でも特に一人で起業する際におすすめなのが、個人事業主になり、フランチャイズ契約を結んで起業する方法です。
ひとり起業にフランチャイズがおすすめな理由
一人で起業する場合にフランチャイズがおすすめな理由が次の4点です。
- ノウハウを得られる
- 成功している企業からサポートを受けられる
- すでに知名度があるので集客しやすい
- 資金面で援助を受けられることもある
ノウハウを得られる
フランチャイズ契約すると、オーナー企業から経営や運営のノウハウの提供を受けられます。
例えば個人が一人で飲食店で起業する場合、メニューの考案や仕入先の開拓や交渉、接客、広告宣伝といった経営にまつわる全てを、ゼロから学ばなければなりません。これには膨大な時間と労力を要します。準備に手間取り、開業時期が大幅に遅れる可能性もあります。
しかしフランチャイズ契約すれば、体系化された経営や運営に必要なノウハウを受け取ることができます。そのため、スピーディーに開業することが可能です。
成功している企業からサポートを受けられる
フランチャイズのオーナー企業は、その業種ですでに成功を収めている企業です。
オーナー企業から提供される経営や運営のノウハウは、成功事例を体系化したもので、高い価値を持ちます。
またオーナー企業は、数多くの事例をもとにした成功しやすいパターンや失敗するパターンも熟知しています。自身の事業展開について不安な点があれば、的確なアドバイスを受けられるのも大きなメリットです。
すでに知名度があるので集客しやすい
フランチャイズ契約すれば、すでに社会的に知名度のある店名で事業を始めることができます。
事業を成功させるために、必須事項でありながら最も難しい課題の一つ、それが集客です。
知名度があり、社会的信用度の高い店名の看板を使って事業を始めることができれば、集客のために費やす労力を軽減する効果が期待できます。
資金面で援助を受けられることもある
ひとり起業する場合、自分一人で資金を用意しなければなりません。開業および運転資金の捻出がスムーズに進まなければ、事業の継続が難しくなる可能性もあります。
フランチャイズの場合、開業支援として、資金面でのサポート体制を用意しているオーナー企業もあります。
ただし、契約した時点で加盟金の支払いが必要です。また月々一定額のロイヤリティを支払わなければなりません。ロイヤリティとはオーナー企業の商標やノウハウに対して支払う使用料です。
加盟金の金額は、オーナー企業によって異なります。期待できる収益からロイヤリティを支払った場合、どのくらいの利益が期待できるか、あらかじめ算定しながら、契約するフランチャイズ企業を選定してください。
ひとり起業におすすめなフランチャイズのビジネスモデル3選
無理なく経営、運営できる規模のビジネスモデルを選択することが大切です。そこでひとり起業におすすめなフランチャイズのビジネスモデルを3つ、紹介します。
サロン経営
美容師やネイリスト、まつ毛エクステ、リラクゼーションといったサロンの経営は、フランチャイズでひとり起業するのに向いている業種です。
フランチャイズなら、技術力をつけるための研修やサポートを受けられることもあります。施術のノウハウを学びながら経営、店舗運営のサポートが受けられるため、手に職をつけながら経営者になることが可能です。
また顧客に選ばれるサロンを運営するためには、知名度が重要です。サロンの業務内容は人の体に触れるものであるため、社会的な信用度は集客に影響します。
知名度のある店名で開業できるフランチャイズのメリットが遺憾無く発揮できるのがサロン運営です。
家事や掃除の代行業
家事や掃除の代行業の利用者は増加傾向にあります。
画像引用元:家事代行サービスに関する調査(マイボイスコム株式会社)
また家事や掃除の代行業であれば、店舗を構えず顧客宅に出張するため、大きな設備投資は要りません。初期費用を抑えながら一人で起業するのに適した業種です。
フランチャイズで家事や掃除の代行業を始めれば、家事や掃除に関するプロのノウハウを習得できます。
また知名度のある企業の看板を掲げて営業できるので、集客もスムーズです。
飲食サービス
ひとり起業に特におすすめなのが飲食サービスでフィランチャイズ契約を結び、起業するスタイルです。
飲食サービスのフランチャイズなら、メニューや店舗運営のノウハウをオーナー企業から得られるので、開業までスピード感を持って進めることができます。仕入れ先業者の選定も不要ですし、知名度があるので集客もスムーズです。
飲食サービスでフランチャイズして起業するなら、次のような小規模な店舗がおすすめです。
- カウンターだけの小規模な店
- テイクアウト専門店
カウンターのみの小規模な店舗であれば、調理と接客を一人でこなすことができるので、ひとり起業に適しています。
またテイクアウト専門店は、コロナ禍による食生活の変化に伴って需要が伸びている業態です。
画像引用元:新型コロナによる暮らしの変化に関する調査(ニッセイ基礎研究所)
テイクアウト専門店であれば、店舗を構える必要がありません。調理機器さえ整えば、自宅のキッチンを改装して開業することもできます。
開業にかかるコストを削減できるため、限られた自己資金での開業が可能です。
まとめ
ひとり起業には、意思決定がスムーズで自由度が高いメリットがあります。その反面、全ての業務や責務を一人で負わなければならないのが弱点です。
しかし起業は経営者としてのスタートラインに過ぎません。長期戦である事業展開に際しては、外部のサポートを活用することが重要です。
そこで、一人で起業する際に検討したい仕組みの一つが、フランチャイズです。
フランチャイズを活用すれば、経営や運営のノウハウを得られるほか、知名度のある状態で事業をスタートできます。
自身の事業に合った条件のフランチャイズ企業のサポートを得られれば、ひとり起業の負担を軽減し、事業を成功に導くことも可能です。