フランチャイズに加盟して開業する場合、自分でゼロから始めるときにはかからない費用として「加盟金」が発生します。
加盟するフランチャイズにもよりますが、結構な金額を加盟金として請求されることもあるため注意が必要です。
この記事では、フランチャイズに加盟してビジネスをスタートさせたいと考えている方向けに、事前に知っておくべき加盟金の仕組みについて紹介していきます。
- 加盟金の概要
- 加盟金のシステム
- 加盟金の相場
- 加盟金を支払う前に確認しておきたいチェックポイント
などについても解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
フランチャイズ契約における加盟金とは
加盟金は、フランチャイズ契約を締結する際にフランチャイジー(加盟者)がフランチャイザー(本部)に支払う費用の一つです。
フランチャイズに加盟するフランチャイジーは、フランチャイザーの商標(店舗名やロゴなど)の使用が可能になり、経営・営業する上でのノウハウを提供してもらってビジネスをおこなっていきます。
そのため、フランチャイズに加盟することでビジネスが上手くいく可能性を高めることができます。
しかし、フランチャイザーとしても、商標や大切なノウハウを無料で提供するわけにはいかないため、対価として加盟金を設け、徴収しています。
フランチャイズ契約における加盟金の相場
フランチャイズ契約の加盟金はフランチャイザーが金額を自由に設定できるため、どのフランチャイズに加盟するかで大きく異なります。
そのため、実際に加盟する際は各フランチャイザーに資料を提供してもらい、事前に確認しておく必要があります。
ただ、おおよその相場については経済産業省が公表している「フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書」という資料で確認できます。
業界別の加盟金の相場は以下のとおりです。
本部事業者側で店舗を用意する場合
業界 | 加盟金の相場 |
---|---|
小売業 | 125万円 |
外食業 | 163万円 |
サービス業 | 166万円 |
全体 | 150万円 |
加盟店側で店舗を用意する場合
業界 | 加盟金の相場 |
---|---|
小売業 | 172万円 |
外食業 | 209万円 |
サービス業 | 210万円 |
全体 | 197万円 |
参考:https://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/franchise2007.pdf
加盟金の相場は、店舗を自分で用意するか本部に用意してもらうかによって金額が若干異なりますが、150〜200万円ほどはかかると考えておくべきでしょう。
フランチャイズ契約の加盟金に関する基礎知識
フランチャイズに加盟する際に把握しておくべきことは、加盟金の金額や相場だけではありません。
最低限把握する必要があるフランチャイズ契約の加盟金の基礎知識について解説していきます。
加盟金は基本的に返還されない
フランチャイズに加盟する上で支払う加盟金は基本的に返還されないので注意が必要です。
フランチャイズで開業を考えている方の中には、フランチャイズ契約を解除したときに加盟金を返還してもらえると考えている方がいますが、返還してもらえるケースはほとんどありません。
なぜなら、加盟金は、あくまでそのフランチャイズに加盟して商標を使用する権利やノウハウを提供してもらう権利に対して支払うものだからです。
金額が大きいこともあって、加盟金の返還についてトラブルに発展することも少なくありません。
基本的には返還されないものであるということを覚えておくようにしましょう。
加盟金を設けていないフランチャイザーもある
フランチャイザーの中には加盟金を設けていないフランチャイザーもいます。
「加盟金ゼロ」と聞くと、聞こえはいいかもしれませんが、加盟金以外の名目で手数料が設定されていたり、ロイヤリティの額が極端に高く設定されていたりするケースもあるため、注意しなくてはいけません。
加盟時に発生する費用については、フランチャイズ契約書で確認できるようになっているので、加盟金以外の名目で手数料が設けられていたりロイヤリティが高く設定されていたりしないかしっかりと確認した上で契約するようにしましょう。
加盟金を支払うタイミング
加盟金の支払いは、加盟が正式に決まったタイミングでおこなうのが一般的です。
まれに手付金のような形で事前に支払うケースもありますが、まだ正式に加盟するかどうかも決まっていないのに加盟金の支払いを催促されるのはおかしいと考えるべきです。
後々加盟金を巡ってトラブルになる可能性が高いので、そういったフランチャイズへの加盟は避けるようにしましょう。
加盟する側が支払う加盟金以外の費用
フランチャイズへ加盟することを検討しているのであれば、加盟する側が支払う可能性のある加盟金以外の費用についても把握しておくべきです。
フランチャイズに加盟する側が支払う加盟金以外の主な費用としては、
- ロイヤリティ
- 保証金
- 解約金
の、3つがあげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
1. ロイヤリティ
ロイヤリティとは、フランチャイジーがフランチャイザーに対して毎月支払う費用を指す言葉です。
フランチャイザーに対して商標の使用やノウハウ提供の対価として支払うのがロイヤリティです。
このロイヤリティが、フランチャイザーにとっての主な収益源となります。
ロイヤリティには、
- 売上歩合方式
- 粗利分配方式
- 定額方式
など、いくつか種類があります。
売上歩合方式は「売上の◯%」という形で設定されるロイヤリティです。毎月の売上によって支払う金額が変動します。
粗利分配方式は、毎月の売上ではなく粗利益を元に算出される方式のロイヤリティです。
粗利益が多くなる月はロイヤリティの金額も上がり、逆に粗利益の少ない月はロイヤリティの金額も下がります。
定額方式は毎月決まった額を支払うロイヤリティの方式です。
どの方式のロイヤリティが導入されているかはフランチャイザーによって異なります。
2. 保証金
フランチャイズに加盟する際、フランチャイザーに一時的に預ける資金を「保証金」と言います。
この保証金は、賃貸物件を借りる際に、借り主が不動産業者に支払う保証金と同じような役割をもっています。
経営状況の悪化や、資金繰りの遅延などによってロイヤリティの支払いが滞ってしまった場合、ロイヤリティの支払いが保証金によって一時的にまかなわれます。
なお、手をつけられることがなかった保証金は、フランチャイズ契約を解消する際にフランチャイジーへと返却されます。
3. 解約金
フランチャイズへの加盟には契約期間が設けられているケースがほとんどですが、契約期間中であってもフランチャイズ契約の解除は可能です。
しかし、契約期間中に解約する場合は解約金を支払わなくてはいけません。
フランチャイジーに中途解約されてしまうと、フランチャイザー側は予定していたロイヤリティでの収入を得られなくなってしまうことになります。
その差額を回収する手段として、解約金を設けられています。
解約金の金額や算出方法はフランチャイザーによって異なります。
加盟金の仕訳処理
フランチャイズの加盟金を支払う際に多くの経営者が頭を悩ませることになるのが、加盟金の仕訳処理についてです。
加盟金は「繰延資産」として処理しましょう。この点は、国税庁のホームページにも記載されています。
参考:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/06/02.htm
仕訳処理が必要なのは加盟金が20万円以上の場合となっています。
処理する際の勘定科目には「長期前払費用」などを設定するのが一般的です。
また、償却期間は5年が一般的ですが、契約期間が設定されている場合はその契約期間が償却期間となります。
加盟金を支払う前にチェックしておきたいポイント
フランチャイザーの中には、フランチャイジーの負担を軽減する目的で加盟金を低めに設定している場合もありますが、逆に相場よりもかなり高い加盟金を設定しているところもあります。
法外な加盟金を設けているフランチャイズには加盟するべきではありません。
そういったフランチャイズへの加盟を避けるためにも、フランチャイズに加盟する際は複数のフランチャイザーの情報をチェックするようにしましょう。
複数社を比較することで、業界の加盟金のおおよその相場を把握することができ、法外な加盟金の支払いを避けられるようになります。
まとめ
フランチャイズに加盟する形でビジネスをスタートさせたいと考えている方向けに、契約を締結する際に発生する「加盟金」について紹介してきました。
一部のフランチャイザーでは加盟金を設けていない場合もありますが、基本的にフランチャイズに加盟する場合は、加盟金の支払いが必要になると考えておかなくてはいけません。
加盟金は150~200万円が相場となっていますが、実際の金額はフランチャイザーによって異なります。
フランチャイジーにとっては結構な負担になるので、多めの金額を想定して資金準備をしておくと安心です。
加盟するフランチャイズの目星がついたら、同じ業界の他のフランチャイズについてもリサーチし、業界の加盟金相場を把握するようにしましょう。
手間はかかりますが、イニシャルコストを抑えるためにも必ずおこなうようにしてください。