飲食店を開業する上で用意しておかなくてはいけないアイテムの一つ「領収書」。
しかし、普段発行してもらうことはあっても、「領収書って必ず発行しないといけないの?」など、領収書のことを正しく理解していないという方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、これから飲食店を始める人が知っておきたい領収書に関する基礎知識について紹介していきます。
- 領収書の概要
- 領収書を発行する際の注意点
- 正しい領収書の書き方
など、徹底的に深堀りして解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
領収書とは
領収書は、代金を受け取った側が代金を支払った側に対して「確かに代金を受け取りました」ということを証明するための書類です。
事業主や企業が毎年確定申告をおこなう際に、経費を計上する際の証明書類として領収書が必要になります。
領収書との違いに悩む人が多いものとして、レシートがあげられます。
領収書とレシートは形式こそ異なるものの、効力や役割は一緒です。
最近のレシートは、項目名や項目ごとの金額が細かく記載されており、日付や担当者の名前も記載されています。
また、機械が自動で発行するため、不正しにくいという特徴もあり、どちらかと言えばレシートの方が信頼性が高くなってきていると言えます。
ただ、店舗を利用するお客さんの中には「領収書の方が信頼できる」と考えている方も多いので、飲食店を始めるのであれば領収書が発行できるように用意しておくべきでしょう。
領収書の購入方法
領収書は店舗や通販サイトなどで購入することが可能です。
100円ショップで販売されている領収書も問題なく利用できます。
少し割高にはなってしまいますが、最近はコンビニで取り扱われていることも多いため、万が一「営業中に領収書が切れてしまった…」という場合でも安心です。
通販サイトでは、「アスクル」のようなオフィス用品を取り扱っている会社で購入すれば、他の備品と一緒に配達してもらうこともできます。
また、店舗に設置するレジの中には、レシートだけでなく領収書を発行できるタイプの機種もあります。
領収書を別途用意するのが面倒だと感じる場合は、領収書発行機能付きのレジの導入も検討してみてください。
飲食店を経営する上で知っておきたい領収書の基礎知識
飲食店の経営者が店舗を経営する上で、把握しておきたい領収書に関する基本的な知識として以下の6点があげられます。
- 領収書の発行を断ることはできない
- 領収書を再発行する義務はない
- クレジットカード支払いの場合は領収書を発行する必要がない
- 領収書とレシートを両方発行してはいけない
- 発行した領収書は保管しておかなくてはならない
- 項目を空欄にして発行することはできない
それぞれ詳しく解説していきます。
領収書の発行を断ることはできない
店舗を利用してくれたお客さんが会計の際に領収書発行を求めた場合、店舗側は断ることができません。
料金を支払ったことを証明する領収書の発行は、代金を受け取った側の義務です。
このことは、民法486条でも定められています。
ただ、厳密に言えば、レシートをきちんと渡している場合は領収書を発行する必要はありません。
なぜなら、領収書の役割は代金を支払ったことをレシートが証明しているからです。
しかし、日本では領収書への信頼が根強く残っているため、レシートではなく領収書を発行してほしいとお願いされるケースが少なくありません。
そういったお客さんの要望を断っていると、リピーター獲得のチャンスを逃してしまいかねない上、店舗の評判に影響がでる可能性もあります。
そのため、よっぽどの事情がない限りは、レシートだけで済ませるのではなく、領収書も発行できるようにしておきたいものです。
領収書を再発行する義務はない
飲食店はお客さんから領収書の発行を求められた場合、発行する義務があると紹介してきましたが、一度発行した領収書を再発行する義務はありません。
飲食店を経営していると、「領収書をなくしてしまった」などの理由で再発行を求められるケースが多々あります。
しかし、領収書を再発行してしまうと二重発行になり、不正使用などのリスクが発生してしまいます。
再発行した領収書を不正使用されてしまうと、こちらに実害が出てしまう可能性があるため、再発行は断るべきです。
ただ、「領収書は再発行できる」「領収書は再発行しても問題ない」と考えているお客さんは少なくないので、再発行を断りづらいケースも少なくありません。
どうしても領収書を再発行しないといけなくなってしまった場合は、不正利用されてしまわないよう領収書に「再発行」と明記した上で渡すようにしましょう。
クレジットカード支払いの場合は領収書を発行する必要がない
飲食店をオープンさせたばかりの経営者が頭を悩ませることになるのが、お客さんが現金ではなくクレジットカードで支払った場合の領収書発行についてです。
クレジットカード払いであっても、飲食代金を支払ったことに変わりないため、「領収書を発行するべき」と考える経営者も少なくありませんが、クレジットカードでの支払いに対しては領収書を発行する必要はありません。
なぜなら、クレジットカードで支払った場合、厳密にはクレジットカード会社が代金を支払っていることになるからです。
クレジットカードは、後日カード所有者にクレジットカード会社から請求がいく仕組みのため、カード所有者と店舗間で金銭の受け渡しがおこなわれていないことになります。
そのため、クレジットカードで支払いをおこなったお客さんから領収書発行を求められたとしても断ることができるのです。
領収書とレシートを両方発行してはいけない
飲食店に訪れるお客さんの中には、領収書の発行を依頼しつつ、レシートの受け取りを望み方もいます。
しかし、領収書とレシートを両方渡してしまうと二重発行になってしまうため、領収書を発行した場合はレシートを渡してはいけません。
レシートは店舗側で受け取って処理する必要があります。
再発行の項目でも説明したとおり、二重発行は不正使用されてしまう可能性があり、法律に抵触してしまいかねません。
お客さんの中には「他のお店では両方もらえた」などクレームをつけてくる人もいるかもしれません。
その際は「両方発行してしまうと、有印私文書偽造に抵触する可能性がある」旨を伝え、断るようにしてください。
発行した領収書は保管しておかなくてはならない
領収書は、店舗を利用したお客さんから代金を受け取ったことを示す重要な書類です。
そのため、店舗側には発行した領収書の控えを保管しておく義務が生じます。
よく「領収書の保管はその年度の確定申告が終了するまでで、確定申告後は破棄してもいい」と考えられてしまいがちですが、確定申告が完了したからと言って破棄していいわけではありません。
白色申告で確定申告をおこなっている個人事業主は5年間、青色申告で確定申告をおこなっている個人事業主や法人の場合は7年間領収書を保管しておかなくてはいけません。
発行した領収書を破棄してしまうと、税務署による調査が入ったときに困ることになるので、必ず保管しておくようにしましょう。
項目を空欄にして発行することはできない
領収書には宛名や金額、但し書きなど情報を書き込む欄が複数あります。
飲食店を経営していると、これらの項目の一部を空白のまま領収書を発行するようお願いされたり、店舗名や印鑑だけの白紙の領収書の発行を求められることがあります。
しかし、いくら常連のお客さんからのお願いであっても、こういった領収書を発行してはいけません。
なぜなら、空白の領収書は、受け取ったお客さんが自分の好きなように書き込んで不正使用することができるからです。
飲食店は、お客さんに対して領収書を発行する義務はありますが、項目を空白にしたり、白紙の領収書を発行する義務はないので、断るようにしましょう。
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領収書の書き方
飲食店の会計時に発行する領収書は、自由に記載していいわけではありません。
正しい書き方が決まっており、発行を請求された場合は正しい方法で必要な情報をきちんと記載しなくてはいけません。
領収書の正しい書き方を項目別に詳しく解説していきます。
宛名
宛名には、店舗を利用したお客さんの名前を記入します。
個人名ではなく会社名や「上様」と記入してほしいと言われることもありますが、空欄にしなければ問題ありません。
ただし、会社名については、株式会社や有限会社の部分を省略せずに記入するようにしましょう。
金額
金額を空欄にしてしまうと不正利用されやすくなるので、絶対に空欄のまま発行しないようにしてください。
金額の頭には「¥」の記号をつけ、3桁ごとに「 , 」を入れながら金額を記入します。
後で数字を書き足せなくするために、金額の末尾に「 - 」を記載するようにしてください。
但し書き
但し書きは、何に対して代金を支払ったのかを明確にするための項目です。
飲食店の場合、但し書きには「お食事代として」や「ご飲食代として」と記入して発行するのが一般的です。
また、テイクアウトの場合は「お品物代として」などと記入して発行します。
発行者
発行者は領収書を発行した事業者がわかるようにするために設けられた項目です。
以下のような店舗情報を記入しましょう。
- 店舗名
- 住所
- 電話番号
手書きでも問題ありませんが、手間がかかるのでゴム印などで対応するのがおすすめです。
日付
日付には領収書を発行した日を記入しましょう。
日付も「空欄のままにしておいてほしい」という要望の多い箇所ですが、空欄のまま渡すことはできません。
どうしても聞き入れてもらえないときは、但し書きの部分にそのときのやり取りを記載するなどして対策してください。
収入印紙
食事代が5万円になる場合、収入印紙を貼り付けなくてはいけません。
収入印紙を貼り付けたら、その上から割り印で捺印しましょう。
収入印紙はコンビニでも購入できるので、念の為いくつか用意しておくようにしましょう。
まとめ
飲食店を経営する上で欠かせないアイテムの一つである「領収書」について紹介してきました。
飲食店を経営する中でお客さんから領収書の発行を求められた場合、必ず発行しなくてはいけません。
領収書の発行は代金を受け取る側の義務です。
領収書とレシートには大きな違いはなく、どちらも金銭の支払いや受け取りを示すものとして有効なため、レシートを発行して渡せば義務を果たしたことになります。
ただ、お客さんの要望に合わせて領収書が発行できるようにしておきましょう。
領収書を発行する際は、今回紹介した情報を参考にしながら正しい方法で発行するようにしてください。