飲食店の開業を考えている人の中で、自己資金が少なく資金調達に頭を悩まされる方が多いのではないでしょうか。
自己資金以外の開業資金の主な調達方法には、
- 金融機関からの借り入れ
- 補助金・助成金
- 投資家に出資してもらう
などがあげられます。
しかし、手続きが煩雑であったり審査が厳しい、実績がないと難しいなどの理由からハードルが高く諦めてしまう方もいるでしょう。
そこで近年、資金調達の一つの手段として注目を集めているのが“クラウドファンディング”です。
この記事では、飲食店開業の資金調達をクラウドファンディングで成功させるポイントを紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディン(CrowdFunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。
商品やサービス、企画など自分の活動やアイデアを実現するために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る仕組みのことをさします。
アメリカで、2008年にサービスを開始した『Indiegogo(インディーゴーゴー)』や翌年2009年にサービスを開始した『Kickstarter(キックスターター)』などがインターネットの普及とともに広まったことで本格的にクラウドファンディングがスタートしました。
日本では、2011年3月に『READYFOR(レディーフォー)』、6月に『CAMPFIRE(キャンプファイヤー)』がサービスを開始し、個人利用だけでなく、企業や自治体などもクラウドファンディングサービスへ参入し、日本国内のクラウドファンディング市場希望は拡大し続けています。
参照:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2727
クラウドファンディングの種類
自分のアイデアやサービスに対して資金を募る「起案者」とアイデアやサービスを応援したいと感じて支援をする人を「支援者」といいます。
クラウドファンディングは、起案者への資金提供方法や支援者へのリターン(特典)によって、6種類に分類されます。それぞれの仕組みや特徴を紹介します。
●購入型クラウドファンディング
起案されたプロジェクトへの資金支援に対して、支援者がリターン(商品やサービス)を得る仕組みのクラウドファンディングです。日本でよく利用されており、個人・法人問わずにプロジェクトを公開することができます。
代表サービス:【CAMPFIRE】 https://camp-fire.jp/
また、購入型クラウドファンディングの実施方式には以下の2種類の方式があります。
・All-or-Nothing方式:期間内に、設定した目標金額を達成した場合のみ、起案者は資金を受け取ることができます。目標金額を達成しないと実施不可能なプロジェクトの場合は、All-or-Nothing方式を利用します。
・All-in方式:期間内に、設定した目標金額を達成していなくても、支援者が1人でもいた場合は、プロジェクトの成立となり、起案者は支援金を受け取ることができます。目標金額を達成していない場合も、プロジェクトの実行とリターンの準備をする必要があります。
●寄附型クラウドファンディング
起案されたプロジェクトに対して、支援者がお金を寄付する仕組みのクラウドファンディングです。保全活動や被災地支援活動、子供への支援など社会貢献プロジェクトを公開するときに多く利用されています。
代表サービス:【GoodMorning】 https://camp-fire.jp/goodmorning
●貸付型(融資型)クラウドファンディング
事業者が借り手企業と資産運用をしたい個人投資家を仲介し、融資する仕組みのクラウドファンディングです。日本では、「ソーシャルレンディング」と呼ばれています。
代表サービス:【funds】 https://funds.jp/
●不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資に対して投資家から募った資金で、不動産(マンションやテナント、ホテルなど)の家賃収入や相客利益をシェアするクラウドファンディングです。投資先が不動産に限定されているのが特徴です。
代表サービス:【COZUCHI】 https://cozuchi.com/
●株式投資型クラウドファンディング
企業が起案者となり、個人投資家へ未公開株を提供するクラウドファンディングです。
未上場企業に投資が出来る仕組みなので、開業したばかりのスタートアップ・ベンチャー企業の利用が多いです。
代表サービス:【FUNDINNO】 https://fundinno.com/
●ふるさと納税型クラウドファンディング
仕組みとしては「寄付型」や「購入型」と同じ流れですが、ふるさと納税の仕組みを使い、自治体や自治体が認めた個人・団体への寄付として寄付控除を受けられるのが大きな特徴になります。寄付控除以外にも返礼品やサービスが設定されている場合もあります。
代表サービス:【ふるさとチョイス・ガバメントクラウドファンディング®】 https://www.furusato-tax.jp/gcf/
クラウドファンディングで資金調達するメリット
誰でもできる
従来の、銀行や金融機関から資金調達をする場合は、煩雑な手続きが必要なうえ、成功性の高い事業でないと審査が通ることが難しいとされています。
しかし、クラウドファンディングの場合は、支援者からの賛同を得て目標金額を達成すれば資金を調達し開業することができます。未経験で実績のない人や不確実な事業であった場合でも資金調達できるチャンスがあります。
失敗した場合のリスクが少ない
目標金額に到達せずに資金集めが失敗した場合、手数料や掲載費は発生せず、費用負担もないのでリスクが少ないです。
クラウドファンディングは特に飲食店の開業にオススメ
飲食店の開業時に、クラウドファンディングを利用する場合、資金調達ができること以外にもメリットがいくつかあります。
顧客を獲得できる
クラウドファンディングのプラットフォーム内には、それぞれの事業内容に対して、興味関心のあるユーザーが存在しています。興味関心のあるユーザーがリターンとして特別な待遇を得ることで、プロジェクト成功後も継続的に商品やサービスを利用してくれる可能性が高いため、顧客獲得に繋がります。
開業前に、ニーズを知ることができる
事業内容やリターンの内容(商品やサービス)に需要があるのか、どういった層から反応を得られるのかテストマーケティングの場として活用することができます。
マーケティング(宣伝)効果もある
ユーザー数が多く信頼度の高いプラットフォームで、事業内容の宣伝を画像や動画を通してできるので知名度をあげてファンを増やすことができます。
資金調達を成功させるための4のポイント
1.支援者からの信頼を得る
実効性のあるプロジェクトを準備しても、支援者へ内容がうまく伝わらない場合、支援してもらうことがことができません。
どのような人(起案者)が、何の目的で、どういった内容のプロジェクトを行うのかを明確に伝え、支援者からの安心・信頼を得ましょう。
2.リターンの設定
支援してくれそうなユーザーを想定し、自分のプロジェクトに合った内容と価格で設定しましょう。「支援したい」という支援者の気持ちの熱量に併せて選べるように、幅広い金額で設定することで多くのユーザーからの支援を期待できます。
また、最終的な目的はプロジェクトを成功させ、継続することです。リターンの内容が負担にならないように、無理のない範囲でリターンを考えるよう、注意が必要です。
3.最適なファンディング期間設定・ファンディング中
募集期間が長ければ資金が集まるというわけではありません。大手飲食店向けクラウドファンディングサイトのCAMPFIREでは、期間中にいろいろと試行錯誤し施策ができることや宣伝・広告にかかる費用や時間の負担から、45〜60日程度で設定することをオススメしています。
プロジェクトの公開後は公開から1週間以内に目標金額の20〜30%の支援を集められれば、成功率が約90%になるといわれており、スタートダッシュが成功への鍵を握っています。いつから、どんなプロジェクトのクラウドファンディングを始めるのか、公開前から積極的なPR活動を行い、支援者を募りましょう。
また、終了間際も、支援が集まりやすい時期です。支援がいくら集まっているかを判断材料にするため、終了間際まで出資を悩んでいるユーザーもいます。最後まで丁寧に自分の想いを発信し続けましょう。
4.プロジェクトの見せ方を工夫する
多くの支援者に、インターネット上でプロジェクトの内容を理解し「支援したい」と共感をしてもらうことが必要です。
クラウドファンディングのプラットフォームには、多くのプロジェクトが掲載されています。プロジェクトページへアクセスを増やすため、メイン画像の設定は工夫することが重要です。他のプロジェクトに埋もれないよう目立つことはもちろんですが、プロジェクトの概要がイメージしやすいものを考えましょう。
成功事例
クラウドファンディングで飲食店開業の資金調達に成功した例をご紹介します。
会社名:『C by favy』
プロジェクト名:日本初!定額制「生ハム食べ放題」の飲食店を作ります!
資金調達方式:All or Nothing型
西新宿で「定額制生ハムの食べ放題」のお店を実現するためにクラウドファンディングを実施。出資者に対するリターンは、出資額に応じて利用期限が設定された「生ハム食べ放題の会員権」を設定し、300人以上のサポーターを集め240万円近くの出資を集めることに成功しました。
参照:https://www.makuake.com/project/cbyfavy02/
クラウドファンディングでの資金調達に失敗するケース
必ずしも、目標金額を達成し成功できるわけではありません。クラウドファンディングを開始する前に失敗するケースを把握しておきましょう。
1.プロジェクトの内容に共感できない
プロジェクトに必要な金額に根拠がない場合や使い道が不明慮である場合は、支援者から信頼を得られず、不信感が募り共感は生まれません。
2.リターンに魅力がなく、現実的でない
プロジェクトに共感してくれる支援者のニーズに合わない場合は、支援にいたりません。
例えば、飲食店の場合、店舗への来店を前提としたリターンのみ用意されている場合は
店舗から遠くに住んでいて来店できない支援者は「現実的」に考えることが難しくなります。そのため、お店の立地に関係なく支援を集められるよう店舗へ来店できない方へのリターンも設定しておくことが必要です。
できるだけ多くの支援者にとって有益となるリターンの設定が必要です。
飲食店向けクラウドファンディングサイトの紹介
飲食店を開業する場合の多くは、商品やサービスをリターンとして設定できる購入型クラウドファンディングがオススメです。
購入型の場合、支援に対するリターンをお店のサービスで提供することができます。
また、寄付型クラウドファンディングの場合も、融資型のように返済や利子の支払いが必要がないので検討してみてもよいでしょう。
各サイトによって、手数料や支援方法などが異なるので、サイトの特徴を比較して自分のプロジェクトにとって一番良いサイトを選びましょう。
●CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/kaigyou-support
購入型国内クラウドファンディング年間支援プロジェクト成立件数日本最大級のプラットフォームです。飲食店以外の多岐にわたるジャンルのプロジェクトも取り扱っています。
●Makuake(マヌケ)
https://www.makuake.com/
地方自治体と連携したプロジェクトなどに積極的なプラットフォームです。起案者へのサポート体制も充実しています。
●Readyfor(レディーフォー)
https://covid19.readyfor.jp/restaurant
日本初・国内最大級のクラウドファンディングサイトで、寄付型のプロジェクトに強いタイプのクラウドファンディングサイトです。
まとめ
飲食店開業の資金調達をクラウドファンディングで成功させるためのポイントについて紹介してきました。
気軽にはじめることのできる、クラウドファンディングですが成功させるためには、事前の準備が重要になります。
- 支援者からの信頼を得る
- リターンの設定
- 最適なファンディング期間
- プロジェクトの見せ方を工夫する
4つのポイントに注意しながら十分なリサーチをして、クラウドファンディングで資金調達の成功・飲食店開業を実現させましょう。