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飲食店FC開業時に認められる自己資金とは?開業資金との違いについて

飲食店FC開業時に認められる自己資金とは?開業資金との違いについて

「フランチャイズ」とは、個人や法人が本部企業と契約を結び、店舗などを運営するかたちのビジネスです。本部企業のブランドや商品、商標を使うことができますが、企業体としてはひとつの店舗が独立した法人(本部企業とは別の企業)になっていることが大きな特徴です。もちろん、店舗の立ち上げには多額の資金が必要で、これを集めるのに苦労なさる方も多いようです。今回は、飲食店のフランチャイズビジネスを立ち上げるときに考えられる、

  • 資金にはそもそもどのようなものがあるのか
  • どのようなお金が資金として扱われるのか
  • 開業にあたり、資金はどのようなものに使われるのか
  • 資金が足りないときに使える制度はあるのか

などの疑問について、解説させていただきたいと思います。

自己資金と開業資金の違い

フランチャイズビジネスを始めるにしても、まずは事業を運営する資金が必要です。その資金にも、「自己資金」と「開業資金」の2種類があります。両者はどんな「資金」なのか、最初にそれぞれの特徴を見ていきます。

自己資金

一言でいうと、「創業時に持っている元手資金」です。企業の体力と言い換えることもできるもので、起業後、ちゃんと運営できるかを判断するバロメーターにもなりえます。なお、似たような言葉に「資本金」がありますが、こちらは「企業が株主などの出資者から受け取った出資金」です。一方、「自己資金」は「創業者が自力で調達、貯蓄した資金」。つまり、創業者自身が出資しているかどうかで呼び方が変わるということになります。

また、「自己資金」は、現金以外にも当てはまるものがあります。詳しくはのちほど、「自己資金として考えられるもの」の項目でご説明します。

開業資金

「起業後、事業を始めて店舗などを開業するときに最低限必要な資金」という位置づけです。飲食店の場合で、開業までに必要なお金を大まかに考えると、

  • 物件の取得費用
  • 物件の整備費
  • 調理器具や食器などの備品
  • 従業員を雇う場合の人件費
  • 開業に必要な事務手続きの費用

などが該当するでしょうか。フランチャイズの場合は、本部が必要な金額を提示してくれることもあるので、それも参考にするとよいでしょう。

自己資金と開業資金の関係

ここで、自己資金と開業資金の関係性に少しふれておきましょう。

開業資金は、自己資金の中に含まれるものであり、ここから捻出するものです。

もちろん、自己資金を全額開業資金に充てることも理論上はできますが、ご自身の生活も考えると、そのようなことはリスクが高いといえるでしょう。

たとえば、現在自己資金を1000万円お持ちの場合、このうち700万円程度を開業資金に充て、残りの300万円はご自身の生活費として残すなど、自己資金の中から開業資金をどの程度にするか、考えることになります。逆に言うと、開業資金を700万円程度とお考えであれば、1000万円程度の自己資金は持っておかなければ厳しい、ということになります。

自己資金として考えられるもの

どんなに規模が小さくとも、店舗を構えて開業するには多額の資金が必要です。金融機関へ融資をお願いすることがほとんどではないでしょうか。そして、融資するときに金融機関が注目するのが、「自己資金をしっかり持っているかどうか」です。

もっとも、ひと口に「自己資金」といっても、該当するものはいろいろあります。どんなものが「自己資金」として扱われるのか、おもなものをご紹介いたします。

銀行預金

預金通帳に少しずつ貯めたお金です。創業融資をするにあたり、金融機関は通帳の原本を見て資本金を貯めた流れを確認します。このとき、時間をかけて貯めた記録が残っていれば、返済能力や計画性を評価してもらえる可能性が高まります。審査は、過去半年分程度の記帳ずみの通帳をベースにおこなうことが多いようです。記帳できていない期間があるのなら、事前に銀行で明細書を発行しておくとよいでしょう。

また、審査員の判断によっても変わるようですが、配偶者名義の預金も基本的には自己資金として認められます。こちらも自己資金に含む場合、配偶者の確認を忘れずにとり、通帳を提出する準備をしておきましょう。

退職金

企業を退職するときに支払われるお金です。近年は支給する企業が減りつつあるので、支給されるかの確認を忘れないようにしましょう。

預金口座に入金された退職金は、自己資金として認められます。源泉徴収票などの金額が記載された書類を提出し、振り込まれたものが退職金であることを証明できるようにしておきましょう。多額の現金が一度に振り込まれている場合、自己資金として認められないことがあるため、入金されたものがどんなお金なのか、証拠を残しておく必要があります。

また、退職金が入金されていない場合、その予定額が記載された証明書を提出することで、自己資金扱いとなる確率が高まります。ただ、その書類だけで自己資金として認めるかは審査員の判断によるところも多く、「絶対に大丈夫」とは言い切れないようです。

資産の売却により得たお金

たとえば

  • 有価証券、投資信託などの金融資産
  • 自動車などの自己資産

など、売却することにより入るお金も、自己資金に含まれます。預貯金と同様、時間をかけて資産を作ってきたことがわかるので、金融機関からも評価されることが多いようです。

返済の必要がない資金援助

事業を始めるにあたり、親族から資金の援助を受けることもあるでしょう。この資金に返済の義務がない場合、自己資金に含まれることが多いようです。ただし、お金の出所をハッキリと確認できるよう、支援する人の通帳の提出や、通帳に名義が記載されるように振り込んでもらうなどの対応が必要です。返済の義務がないことを示す「贈与契約書」を締結しておくと、より確実でしょう。

出資者から出資されたお金(資本金)

事業を展開するにあたり、ご自身以外からの株主から出資を受けて、株式会社を設立することもあるでしょう。このとき出資によって得たお金(資本金)は、返済義務がないことから、基本的に自己資金として認められます。

みなし自己資金

融資に先立って事業を始め、設備投資などに使用したお金のことを、このように呼びます。審査員の裁量や投資したものにもよりますが、自己資金の扱いになることが多いようです。認められやすいものは、

  • 店舗の備品
  • 店舗の機械設備
  • 店舗の敷金、保証金
  • 店舗の内装工事費用
  • フランチャイズ加盟金

など。事業を運営するうえで必要な、目に見えるものであれば認められることが多いようです。

逆に、

  • 広告費
  • 交際費、交通費
  • 資格取得費

など、事業との関連性を証明しづらいものは認められない可能性が高いので、注意しましょう。

また、この「みなし自己資金」は、あくまで例外的な措置とされています。絶対に自己資金として認められるとは限らないことは覚えておいたほうがよいでしょう。また、融資する機関によって線引きが異なることもあり、その点も注意が必要です。

自己資金として扱われないもの

ここまで、自己資金として認められる(認められやすい)ものを紹介してきましたが、逆に、自己資金として認められない(認められにくい)お金ももちろんあります。どんなお金は認められないのか、代表的なものを2点ご紹介いたします。

金融機関に預けられていない現金

「自分が持っているお金なのだから問題ないだろう」と思われるかもしれません。が、いわゆる「タンス預金」と呼ばれる、金融機関に預けられていないお金は、自己資金として認められないことが多いようです。これは、

  • 通帳がある場合と異なり、自己資金が貯まっていく過程を確認できない
  • そのタンス預金が正式にはだれのものなのかを証明することができない

ことが大きな理由とされています。

たとえ、現金支給の給与を自宅内で貯め、創業融資の申し込み直前に金融機関へ預けるというケースでも、なかなか認められないようです(たとえ事実であったとしても)。融資する側からみれば、「闇金業者などから一時的に借りている」などの可能性も考えられるため、当然といえば当然なのですが……。

返済が必要な借りたお金

「誰かに返済する必要がないお金」でなければ、自己資金として認められることはありません。先ほど、「親族からの贈与をはじめとする、返済義務のないお金であれば認められやすい」とお話ししましたが、これが借りている扱い、つまり返済しなければならないものであれば、たとえ無利息であったとしてもアウトです。友人、知人から借りる形での資金援助も、自己資金の扱いにはなりません。もちろん、返済義務のない贈与の形であれば、出所が友人、知人だとしても問題ないのですが、その場合でも、無償贈与であることに合理的な理由が必要になると思っておいたほうがよいでしょう。

見せ金、ダメ、絶対

誰かから資金を一時的に借りて融資の審査をごまかし、事業や会社の設立後、その資金を返済することを「見せ金」と呼びます。お金を借りている状態なので、自己資金としては認められないのですが、「お金を持っている」ように見せかけ、融資の審査を通るというものです。

これはれっきとした犯罪なので、以下の法律に引っかかります。

  • 刑法第157条:5年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 会社法第52の2:出資履行をごまかした場合の責任として、ごまかした出資金額の全額を発起人に支払う義務

また、このようにごまかそうとしても、金融機関の審査で間違いなくバレます。しっかりと堅実に事業を展開するなら、余計な小細工はしないに限ります。

飲食店フランチャイズで必要になる資金

2019年の春ごろから、いろいろな意味で有名な「いきなり!ステーキ」でフランチャイズオーナーの募集が行われたことをご存じでしょうか。「いきなり社長」と銘打ったもので、募集のポスターには「開業資金に300万円必要(うち150万円は保証金)」と書かれていたようです。開業に多くの資金が必要なことは確かなのですが、では、その資金はどのようなものに充てられるのか、おもなものをご紹介いたします。

加盟金

開業時の初期費用に必要となるもののひとつで、フランチャイズとして加盟するときに、本部に支払う金銭のことです。これを支払うことで、加盟した側は、本部企業のブランドやサービス、商品、経営のノウハウなどを使う権利のほか、本部からのサポート(ビジネス設定や店舗の立ち上げ、スタッフの研修など)を受けられるようになります。

その金額は、10万円程度から1000万円近くまでと、業界や業種にもよりますが、設定の幅は非常に広くなっています。もちろん、安ければ開業しやすくなる確率は高まります。ですが、「加盟金は安いが、本部企業に毎月支払うロイヤルティを高めにしている」場合もあれば、逆に「加盟金は高めでも、毎月のロイヤルティは低めに設定されている」ケースもあります。また、「加盟金が安くとも、そのほかの初期費用がかかる」こともあるので、加盟金の比較だけで決めることは望ましくないと言われています。

なお、「本部企業が持つ権利を使う対価」という性質をもつため、一度支払うと、原則的に返金は認められません。実際、契約のときには、加盟金の返金がないことを認める「加盟金不返還特約」を結ぶことが多くなっています。

保証金

加盟するさい、本部が預かる担保としての性質をもつ金銭のことです。不動産賃貸でいう敷金に相当するものと考えると、わかりやすいかもしれません。

毎月のロイヤルティをはじめ、加盟店と本部企業の間には常に金銭のやり取りがあります。その支払いが滞ると、本部企業にお金が入らなくなり、最悪の場合は経営を揺るがすことにもつながります。このため、本部企業が事前にお金を預かり、支払いが遅れた場合の対策をとっているのです。

加盟金とは異なり、フランチャイズ契約を終了するとき、保証金は本部企業から返されます(この点も、賃貸の敷金と同じです)。しかし、店舗の家賃や水道光熱費、飲食店の場合は食材費など、契約終了時に支払いが終わっていないものがある場合、その金額が補償金から差し引かれることになります。

ちなみに、先ほど話題にした「いきなり!ステーキの保証金150万円」の内訳は、『保証金が100万円、店舗で使う釣り銭が50万円』となっているそうです。

物件費

店舗で使用する建物のことです。飲食店の場合、店舗アクセスのよさのほか、厨房設備や換気設備の設置のしやすさなども重要になります。開業時にもっとも苦労するセクションのひとつと言われており、物件探しのコツを教えるセミナーもあるようです。立地や規模によってかかる費用は大きく異なりますが、いわゆる「居抜き物件」を利用することで、物件そのものや内装工事にかかる費用を節約できることもあります。また、「いきなり!ステーキ」のオーナー募集の場合は、すでにある店舗の運営をまかせるという形態です。このようなケースでは、新たに店を構える必要がなく、物件費用がかかりません。

なお、企業によっては、店舗立地の立場調査や物件探しなど、開店計画に必要なことを請け負ってくれる、フランチャイズのパッケージプランを提供しているところもあります。もちろん、このようなパッケージを利用するのもひとつの手ですが、最終的に決定するのはご自身です。アドバイスを参考にしつつも、ご自身で納得できる決断をしましょう。

「居抜き物件」とは

店舗や工場など、前に使用していたテナントの内装、設備などを残したままの状態で販売、貸し出しをしている物件のことです。残された設備をそのまま使えるため、必要物資を揃えるための費用を削減できるほか、工事期間の短縮により開業までの時間を縮めることも可能です。一方、すでにレイアウトが決められている状態なので、ご自身が抵抗なく使えそうかという「相性」も重要になってきます。また、使える状態で前のオーナーが手放したという事実から、店舗の運営にあたって不都合な点が潜んでいることも考えられなくはありません。この点は、不動産業者にもしっかり確認しておくほうがよいでしょう。

設備費

店舗の設備を整えるために必要な費用です。

  • 店舗の外装、内装、看板
  • 電気、水道、空調などの設備
  • 厨房機器類、食材保管用の冷蔵庫など
  • 食器や調理器具のような備品

はもちろん、客用のテーブルやイスなどの接客設備、開業前の店舗クリーニングも含まれます。また、場合によっては店舗の制服や、注文用の券売機などを用意することもあるでしょう。これらも設備費に当てはまります。

店舗の種類や規模によって、用意するものや数も変わります。そのため、必要な金額もマチマチです。そのため、工事や設備をお願いする会社に見積もりを出してもらい、金額的に問題ないかをしっかり検討するようにしましょう。初期投資を抑えめにしたい場合、設備を中古品でまかなう、居抜き物件を選び、残された設備を利用することなどを考えることもおススメします。

運転資金

店舗の売り上げが増え、事業が軌道にのるまでの間を乗り切るための資金で、「運営資金」と呼ばれることもあります。

  • 店舗の家賃
  • 食材や水道光熱費、消耗品の代金
  • 広告宣伝費
  • スタッフを雇う場合の人件費
  • 各種社会保険の費用

などが当てはまります。もちろん、「事業はすぐに安定する」などと楽観的に考えるのではなく、ある程度中期スパンで考えて資金を計算する必要があります。たとえば、1ヶ月あたりに必要な費用が

  • 家賃:30万円
  • 食材、水道光熱費、消耗品:合計15万円
  • 広告宣伝費:5万円
  • 人件費:30万円
  • 各種社会保険:5万円

とすると、合計で85万円です。事業が安定するまでを半年(6ヶ月)と考えると、85万円×6=510万円となります。もちろん、店舗の規模や地域などによって、その金額はまったく異なります。しかし、「店舗を続けていくため」にも、それなりのお金がかかることは意識しておく必要があります。

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資金調達のときに頼れる制度

新たに自動車や住まいを購入するとき、ご自身の所持金だけでなく、ローンなどを組み、ご自身以外のところから資金を調達することも多いと思います。同じことはフランチャイズビジネスでも言えることで、必要な資金をすべて自己資金でまかなえないことも、少なくないでしょう。そのため、国や独立行政法人をはじめとする政府機関では、助成金や補助金などの制度が、金融機関では融資制度があります。起業を目指す方はもちろん、すでに独立開業中の方などを対象にした支援がいくつかありますが、そのようなものがあるのか、最後に少しだけご紹介いたします。

補助金、助成金

フランチャイズビジネスにおいては、「開業を目指す方々に、資金の一部を援助するお金」ということになります。これらは基本的に返済の必要がなく、ちゃんとしたステップを踏んで申請すれば、資金の一部を肩代わりしてくれます。資金集めに苦労しているのであれば、とてもありがたい制度といえるでしょう。

ただし、両者とも応募期間があり、いつでも申請を受けつけてくれるわけではありません。また、支給条件が厳しく、申請しても受け取れないケースも多くあります。さらに、審査や手続きの関係上、支給されるのは事業を始めてから1年近く経ってからということも珍しくないため、自己資金にある程度の余裕がないと厳しいことも、抑えておいたほうがよいでしょう。

なお、補助金と助成金は、管轄する省庁が異なります(助成金:厚生労働省、補助金:経済産業省)。支給にあたって重視することも異なるのですが、このあたりは機械を改めてご説明したいと思います。

融資制度

事業のために金融機関や企業からお金を借りることで、借金やローンの事業用バージョンといえます。「お金を借りる」という特性上、返済する必要があります。フランチャイズビジネスにおいて、融資をしてくれる機関は、おもに以下の2つです。

金融機関

おもなものは、銀行や公庫など。新規創業の専用ローンを用意しているなど、必要な資金を調達できるような制度を整えていることもあります。利息以外の返済を待ってくれるものであれば、店舗の運営が軌道に乗るまで返済の心配をしなくてよいというメリットもあります。

ただし、融資における審査で自己資金額が問われることが多く、その金額によっては、希望し多額の融資を受けられないことも珍しくありません。また、審査そのものに時間がかかることも多いので、その点も心得ておくべきといえるでしょう。

フランチャイズ本部

フランチャイズ本部の企業が融資を行っている場合もあります。「自己資金ゼロでフランチャイズ契約ができる」などの文言をご覧になったこともあるかもしれませんが、これは本部からの融資で開業できる形態が多いようです。

金融機関での審査がないため、比較的融資を受けやすいことが大きな特徴です。ただし、店舗の運営を続けることが大前提になるため、金融機関の融資に比べて月々の返済額が重くなることも多いようです。

まとめ

店舗を出す地域、立地(駅から近いか、など)、広さなどによって、必要な資金額はまったく異なります。もちろん、自己資金額が多いに越したことはないのですが、理想はなかなか現実の通りにいきません。現在の自己資金なら、どれほどの融資を受けられるのか、その金額なら、どこに店舗を出せるかなど、専門の機関や本部企業などと相談しながら決めるとよいでしょう。

どんな形で資金を集められるか、どの程度資金を集めればよいかを最初に考えることが、安定した店舗の運営につながります。正解はひとつではありません。プロの力も借りながら、ご自分にとって一番よい方法を探していきましょう。

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