フランチャイズビジネスを始めたいと考えている方が不安を感じやすいポイントの一つが売上についてです。
売上が上がらないと収入が安定しないので、生活できないのはもちろん、ビジネスの継続自体が困難になってしまう可能性もあります。
そこで把握しておきたいのが、フランチャイズの「売上保証制度」です。
この記事では、フランチャイズにおける売上保証制度について紹介していきます。
良い点だけでなく、売上保証制度の注意点についても解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
フランチャイズの売上保証とは
売上保証制度は、加盟店の売上が一定の基準に満たない場合、本部が売上の一部を担保してくれる制度です。
具体的な保証の内容は加盟するフランチャイズによって異なりますが、大きく分けると以下の2種類に分けられます。
- 金銭を補填して保証してくれるパターン
- 仕事を斡旋することで売上を保証するパターン
金銭を補填して保証してくれるパターンの保証制度は、店舗の売上が事前に提示された金額を下回ってしまったときに本部が差額分を補填してくれるというシステムです。
例えば、月の売上保証の金額が100万円に設定されているフランチャイズで50万円の売上しかあげることができなかった場合、残りの50万円を本部が補填してくれます。
仕事を斡旋することで売上を保証するパターンの保証制度は、クライアントや仕事を紹介することで売上を担保してくれます。
クリーニング業や修理業といった業界で売上を確保するには仕事の依頼が必要不可欠ですが、ビジネスを始めたばかりで依頼を確保するのはそう簡単ではありません。
そういった自力で仕事を獲得することが難しいビジネスを始めたばかりのフランチャイズオーナーに対して、本部が請け負っている仕事の一部を割り振ることで最低限の売上を保証するという仕組みになっています。
売上保証が用意されているフランチャイズに加盟するメリット
これからフランチャイズビジネスを始めてみたいと考えている方が売上保証の用意されているフランチャイズに加盟する主なメリットとしては、2点があげられます。
- 早期に撤退しなくて済む
- 余裕を持ってビジネスに取り組める
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
早期に撤退しなくて済む
ビジネスを始めてしばらくの間は赤字の状態が続くことも珍しくありません。
その間は金融機関から借り入れたお金や貯金を切り崩してやりくりすることになりますが、赤字の期間が長くなると資金が底をつき、撤退せざるをえなくなってしまいます。
売上保証が用意されているフランチャイズに加盟した場合、金銭の補填や仕事・業務の割り振りによって最低限の売上を確保できるので、資金が底をついてしまうような状態になりにくく、早期に撤退しなくて済むというメリットがあります。
売上保証制度は期間が決まっていることがほとんどなのでいつまでもその状態が続くわけではありませんが、早期撤退を回避できる点はビジネスオーナーにとって非常に魅力的です。
余裕を持ってビジネスに取り組める
ビジネスは、軌道に乗るまでにある程度時間がかかるものです。
初月から稼げることは稀で、数ヶ月は厳しい期間が続くと考えておかなくてはいけません。
業種や立地などの条件によっては年単位で苦しい期間が続くこともあるでしょう。
これは決して珍しいことではありませんが、思うように売上をあげることができないと金銭面だけでなく精神的にも余裕がなくなってしまい、誤った経営判断を下してしまう傾向があります。
売上保証制度が用意されているフランチャイズの場合、足りない分の売上を補填してもらったり仕事を紹介してもらえるので、「思うように売上をあげられない…」と追い込まれてしまうことがありません。
そのため焦りが生じにくく、余裕を持ってビジネスに取り組むことができます。
ビジネスで成功するには常に危機感を持って取り組むことが重要なので、制度に甘えるのはよくありませんが、焦りが生じにくくなる点はビジネスを成功させる上で大きなメリットになります。
売上保証の注意点
ビジネスオーナーにとって非常に魅力的な売上保証制度ですが、売上保証が用意されているというだけで安易に飛びつくべきではありません。
売上保証にはいくつか注意点があり、そこを見落としてしまうと後々大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
売上保証の主な注意点として、4点があげられます。
- 事業主の利益が保証されるものではない
- いつまで売上が保証されるのかよく確認する
- 売上保証が適用される条件をよく確認する
- 売上保証以外の部分もチェックする
それぞれの注意点について詳しく解説していきます。
事業主の利益が保証されるものではない
売上保証は、あくまでも店舗の売上を保証するものであって、事業主の利益を保証するものではありません。
例えば、年1,000万円の売上が保証されているフランチャイズに加盟した場合、1,000万円の収入が確保されるわけではありません。 1,000万円の売上から仕入れにかかったお金や人件費などもろもろの経費を差し引いた金額が事業主の利益になります。 利益率の高いビジネスであればそれなりの高収入が期待できますが、利益率の低いビジネスの場合、年収が200~300万円ほどまたはそれ以下になってしまう可能性もあります。
「売上保証」と聞くと収入が保証されると勘違いしてしまいがちですが、保証されるのは売上であって事業主の利益や収入ではないので注意してください。
いつまで売上が保証されるのかよく確認する
フランチャイズの売上保証はずっと続くわけではありません。
具体的な期間はそれぞれのフランチャイズによって異なりますが、半年~1年で設定されているフランチャイズがほとんどです。
売上保証は売上を確保しにくい期間の経営をサポートする目的で設けられている制度なので、経営が安定しだす半年~1年を目処に期間限定で設けられるケースが多くなっています。
この期間を過ぎると、金銭での補填や仕事の紹介による保証が一切受けられなくなるので、保証期間の間にビジネスの基盤を整えなくてはいけません。
売上保証の期間については契約書にも記載されているので、必ず確認しておくようにしましょう。
売上保証が適用される条件をよく確認する
売上保証が用意されているとつい安心してしまいますが、売上保証の適用条件はそれぞれのフランチャイズによって異なるため注意しなくてはいけません。
条件が細かすぎたり厳しすぎたりすると、「売上保証が用意されてはいるものの条件を満たせず保証を受けられない」といった事態になりかねません。
また、保証してもらえる金額や紹介してもらえる仕事の量もフランチャイズによって異なるので、しっかりと確認した上で加盟を検討するようにしてください。
売上保証以外の部分もチェックする
売上保証制度はビジネスオーナーにとって非常に魅力的な制度なため、「売上保証制度が用意されている」というだけでそのフランチャイズに加盟してしまう事業主は少なくありません。
しかし、加盟するフランチャイズは保証制度の有無のみで判断するようなものではなく、
- 加盟金やロイヤリティ
- サポート体制
- 契約内容
など、売上保証以外の部分もしっかりとチェックした上で決めなくてはいけません。
売上保証が用意されていても高いロイヤリティが設定されていると稼ぎづらくなりますし、サポート体制の整っていないフランチャイズに加盟してしまうと経営自体が成り立たなくなります。
加盟するフランチャイズを選ぶときにチェックするべきポイントは売上保証制度の有無以外にもたくさんあるので、それらをチェックした上で加盟するかどうかを決めるようにしてください。
フランチャイズビジネスで成功するには売上保証に頼らない経営が必要不可欠
売上保証は加盟店にとって安心材料となる制度ですが、「売上が保証されている」という安心感から、危機感や貪欲さが薄れてしまうビジネスオーナーも少なくありません。
注意点の一つとしてあげた通り売上保証は期間が定められているケースがほとんどなので、売上保証に頼り切った経営は危険です。
フランチャイズビジネスで成功したいと考えているのであれば、「売上保証があるから大丈夫だろう」と考えるのではなく、制度を最大限活用しつつも決して頼りきりにならず、常に危機感を持ってビジネスに取り組むことが重要になります。
まとめ
フランチャイズの売上保証について紹介してきました。
フランチャイズの売上保証は、初めてフランチャイズビジネスに挑戦する方にとって非常に魅力的な制度です。
ただ、保証の範囲については事前にしっかりと確認しなくてはいけません。
また、いつまでも保証が続くわけではありませんので、売上が保証されている期間をうまく活用しながらその期間中にビジネスの基盤を整える必要があります。
加盟先を選ぶときに重要になるのは保証制度の有無だけではありませんので、契約の内容についてもしっかりとチェックした上でどのフランチャイズに加盟するか判断するようにしてください。