飲食店の経営に取り組む際、店舗の規模によっては従業員を雇う必要が出てきます。
最初は1人で切り盛りするつもりだとしても、お店が繁盛したら従業員を雇わなくてはいけなくなってしまうこともあるでしょう。
そこで注意しなくてはいけないのが労働時間に関するトラブルです。
労働時間に関するトラブルは飲食店で起こってしまいがちなトラブルの1つで、場合によっては法律違反になってしまう可能性もあるため決して軽視してはいけません。
この記事では、飲食店を経営したいと考えている方が最低限知っておくべき労働時間に関する基礎知識について紹介していきます。
労働時間トラブルを予防する方法についても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の経営者が知っておくべき労働時間の基礎知識
労働時間に関する決まりは「労働基準法」という労働に特化した法律が制定されているほど複雑なものです。
法律の専門家でもない一般の方がすべてを正しく理解するのは難しいので、無理にすべて覚える必要はありません。
これから飲食店を立ち上げる経営者が最低限知っておくべき労働時間の基礎知識としては、以下の4点があげられます。
- 飲食店の法定労働時間は1日8時間以内
- 法定労働時間を越えた場合は残業代の支給が必要
- 「変形労働時間制」と「非定型的変形労働時間制」
- 休日・休憩時間のルール
最低限この4つのルールを把握しておけば従業員との間でのトラブルは避けられるはずです。
それぞれ詳しく解説していきます。
飲食店の法定労働時間は1日8時間以内
飲食店で働く従業員の労働時間は、1日8時間以内、週40時間以内までと労働基準法で定められています。
特例として、従業員の数が10人未満の飲食店であれば、週に44時間まで労働させることが可能です。
この時間を超えて従業員を労働させる場合は、36協定の締結と労働基準監督署への届け出が必要になります。
36協定は、時間外の労働や休日を返上しての労働に関する決まりです。
36協定を締結していない状態で過度に残業させてしまうと法律に抵触してしまう可能性があるため、従業員を雇う場合は注意しなくてはいけません。
法定労働時間を越えた場合は残業代の支給が必要
1日8時間以内、週40時間以内(または44時間以内)の法定労働時間を超えて残業してもらう場合、25%割り増しした残業代の支給が必要になります。
なお、残業が発生した場合でも、1日8時間以内・週40(44)時間以内の範囲であれば、割り増しした金額を支払う必要はありません。
「変形労働時間制」と「非定型的変形労働時間制」
飲食店の中には平日は比較的暇で、週末になると極端に忙しくなるという店舗がたくさんあります。
そういった店舗に対して認められているのが「変形労働時間制」です。
変形労働時間制にはいくつか種類がありますが、飲食店で用いられるケースが多いのは「1か月単位の変形労働時間制」と「1週間単位の非定型的変形労働時間制」の2つです。
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用した場合、1週間の労働時間が40時間(または44時間)以内であれば、各週ごとの労働時間のバラつきは不問とされます。
つまり、1週目の労働時間が30時間で2週目の労働時間が50時間であったとしても問題になりません。
また、1週間単位の非定型的変形労働時間制では、1日の労働時間の上限を10時間までに引き上げる制度です。
例えば土日に10時間ずつ働かせた場合であっても、平日の勤務時間を4〜5時間にするなど調整して週の労働時間が40時間に収まりさえすればルール違反になりません。
ただ、1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用した場合、従業員が10人未満の店舗における週44時間の特例は利用できなくなるので注意してください。
休日・休憩時間のルール
労働基準法では休憩時間のルールも定められています。
一日の労働時間が6時間を超える場合は45分の休憩時間を設ける必要があり、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を設けなくてはいけません。
また、休憩は労働時間の途中に設定する必要があるというルールもあります。
さらに、最低でも週1回以上の休日を設定する必要もあります。
飲食店が労働時間に関するトラブルをなくすには
先ほど紹介したルールの把握は、労働時間に関するトラブルの発生を抑制する上で重要です。
しかし、いくらルールを把握していても、ルールを守って店舗を経営していくための土台が整っていないことには対策のしようがありません。
そこで取り組んでおきたいのが、労働時間に関するトラブル発生を予防できる店舗づくり・体制づくりです。
飲食店が労働時間に関するトラブルをなくす・予防する方法としては、次の4点があげられます。
- 経営者が労働に関する法律やルールについて正しく理解する
- 必要な人数を雇う
- 従業員を教育する
- 業務の一部を自動化する
それぞれ詳しく解説していきます。
経営者が労働に関する法律やルールについて正しく理解する
従業員との労働時間に関するトラブルを回避したいのであれば、労働に関する法律やルールについて正しく理解するのが一番です。
労働に関する法律やルールについて把握し、正しく理解しておけば、ルールの範囲内で従業員の労働時間を管理できるようになります。
法律やルールに抵触してしまうことがなければ、万が一トラブルに発展してしまった場合でも、少なくとも経営側が不利になることはありません。
いざというときに自分や店舗を守るためにも、法律やルールの理解が必要になるのです。
必要な人数を雇う
従業員に過度な残業を強いてしまう店舗は、そもそも必要な人数を用意できていない傾向にあります。
必要な人数を揃えることができていなければ、時間や人手が足りず、残業や休日返上で対応する必要が出てきてしまいます。
その場合、必要な人数を揃えることで問題を解決できるようになるので、店舗のスムーズな経営にどれくらいの人員が必要になるのかを把握し、必要な人員を揃えるようにしましょう。
従業員を教育する
従業員の教育不足も労働時間の増加につながります。
従業員のスキルが高まれば作業スピードが向上し、残業しなくてはいけない状況が発生しにくくなります。
残業が慢性化してしまいがちな店舗は、従業員の教育が行き届いていない傾向にあるので、従業員の教育を徹底するようにしましょう。
業務の一部を自動化する
労働時間に関する大抵の問題は人員を増やすことで解消できると解説してきましたが、店舗の経営状況的に人員を増やすのが難しいケースもあると思います。
その場合は、業務内容を全体的に見直して、設備導入やITツールの利用による自動化や、外部委託することで、できるだけ業務を効率化して過度な労働が発生しないよう対策しましょう。
食洗機や食器乾燥機など効率化につながる設備の導入もおすすめです。設備の導入にもお金はかかりますが、一度の出費で済むので従業員を増やすよりは経費を抑えられるはずです。
また、従業員のシフト作成や勤怠管理、売上管理なども、AIを利用したシステムなど業務効率化のための多くのツールが提供されています。これらのツールを導入することで、労働時間を大幅に削減できる可能性があります。
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また、コストはかかりますが、従業員の労働時間改善に貢献する方法として、店内の清掃やホームページの更新などを専門業者に委託することも考えられます。
まとめ
飲食店の経営者が従業員を雇う上で、最低限知っておくべき労働基準法などの労働時間に関するルールについて紹介してきました。
これから個人で店舗を立ち上げて経営しようと考えているのであれば、労働時間に関連するルールの理解は必須です。
最低限のルールを把握しておけば、無茶な労働をさせて訴えられるようなリスクを回避することができます。
また、労働時間に関するトラブルを回避するため健全な店舗づくりが必要不可欠になってくるので、意識しながら店舗経営に取り組むようにしましょう。
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