飲食店の経営を成功させる上で売上を向上させるのと同じくらい重要になるのが、経費削減です。
いくら売上のたっている飲食店でも、経費がかかり過ぎていると繁盛店なのに赤字になってしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、飲食店の経営者が知っておくべき経費削減の基礎知識について紹介していきます。
具体的な経費削減のアイディアもたっぷりと紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店における2種類のコスト
飲食店のコストには、「固定費」と「変動費」という2種類のコストがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
固定費
飲食店で発生するコストの一つである固定費は、店舗の経営状態にかかわらず必ず発生するコストです。
代表的なものとしては、以下のものがあげられます。
- 店舗の賃料
- 利息
- 税金
- リース料
固定費は名称のとおり金額が固定されているため、経費削減の対象となりにくいという特徴があります。
大家と交渉して店舗の賃料を引き下げてもらうなどの方法で下げたりすることはできますが、確実性が低いため固定費を対象にした経費削減は避ける方が無難です。
変動費
店舗の売上の増減によって変動するコストは変動費にあたります。
代表的な変動費は以下のとおりです。
- 食材や備品の仕入れ代
- 水道光熱費
- 人件費
- 販売促進費
- 運送コスト
お客さんが増えて提供する料理の量が増えれば、食材や備品を仕入れる量も増えるので仕入れ代が増え、調理する量や機会が増えることで水道光熱費も増加します。
店舗が繁盛してスタッフが増えれば、人件費も増えます。
経費削減に取り組むのであれば、コントロールしづらい固定費よりも多少コントロールできる変動費での削減に取り組むべきです。
経費削減に取り組む上で押さえておきたいポイント
飲食店が実際に経費削減に取り組む場合に押さえておきたいポイントが、以下の2点です。
- 現状のコストを把握する
- FLコストとFL比率を把握する
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
現状のコストを把握する
飲食店が経費削減に取り組む場合、まずは何にいくら経費がかかっているのかを把握するところから始めなくてはいけません。
現状のコストを把握しないとどこで余計なコストが発生しているかがわからないため、経費削減を効果的に進められません。
毎月の収支状況については確定申告のために把握しているはずなので、過去数カ月分の収支状況を確認しつつ、どこにいくら経費がかかっているのか把握しましょう。
FLコストとFL比率を把握する
FLコストは、FOOD(食材)と人件費(Labor)を合計した金額です。
そして、売上高に対するFLコストの割合を算出したものがFL比率になります。
FL比率は、「(食材費 + 人件費) ÷ 売上高」で求められます。
飲食店のFL比率は60%未満に抑えるべきだとされているため、自分が経営する店舗のFLコストとFL比率を算出し、目安となる60%を超えてしまっていないか確認しましょう。
飲食店におすすめの経費削減アイディア
経費削減に取り組むのであれば、さまざまな経費削減アイディアを実践してみるのがおすすめです。
飲食店におすすめの主な経費削減のアイディアとして次の8つがあげられます。
- 光熱費に関わる会社やプランを見直す
- 節水コマを取り入れる
- 古い設備を交換する
- 通信費を見直す
- 仕入れ先を見直す
- 仕入れ業者と交渉する
- 人件費を見直す
- ロス管理を徹底する
それぞれのアイディアについて詳しく解説していきます。
光熱費に関わる会社やプランを見直す
電力自由化やガス自由化によって、電力会社やガス会社は消費者が自由に決められるようになっています。
今はさまざまな会社が複数のプランで電気やガスを提供しているので、会社やプランを見直すだけで電気代やガス代を削減できる可能性があります。
節水コマを取り入れる
飲食店では毎日大量の水を消費するので水道代の節約にも着手するべきですが、水道代の節約には節水コマがおすすめです。
節水コマとは水道の蛇口に設置するパーツで、設置するだけで水量を適切に調整して水道代の節約を実現してくれます。
節約できる金額はひと月あたり数百円程度と決して多くありませんが、ちょっとした手間でおこなえる節約方法なので、ぜひ実践してみてください。
古い設備を交換する
店舗に導入している設備が古い場合、設備を交換するだけで毎月の水道光熱費を大幅に削減できる可能性があります。
例えば、電球をLED電球に変えるだけでも電気代の節約になりますし、新しいコンロに変えることでガス代を節約することもできます。
古い冷蔵庫や冷凍庫、エアコンは電源効率が悪く多くの電気を消費するので、それらの設備を新しいものに変更するだけでも電気代の節約になるでしょう。
通信費を見直す
通信費は固定費にあたりますが、固定費の中でも比較的見直しやすい類の経費です。
インターネット回線はさまざまな業者が提供しており、プランも豊富なので、業者やプランを見直すだけで経費削減が可能になります。
また、固定電話や携帯電話にもさまざまなプランが用意されているので、プランを見直すことで節約できる可能性があります。
仕入れ先を見直す
食材の仕入れ値は業者によって異なります。
「Aの業者で100円で仕入れていた食材が、Bの業者だと50円で仕入れられる」なんてことも珍しくありません。
業者の変更は時間と手間がかかりますが、「業者を見直すだけで経費を大幅に削減できた」というケースも少なくないため、積極的に見直すべきです。
業者の変更を検討するのはもちろん、スーパーなどの小売店を仕入れ先に使っている場合は、卸業者との付き合いを始めるなど仕入れのスタイルの変更を検討してみてください。
仕入れ業者と交渉する
仕入れ業者との付き合いが長くなってきたら、仕入れ価格について業者と交渉するのもおすすめです。
付き合いを始めたばかりのタイミングでの交渉はマナー違反なので避けるべきですが、ある程度付き合いが長くなってきたらどんどん交渉しましょう。
食材一つあたりの仕入れ値を10%下げることができれば、10%の経費削減につながるのでやらない手はありません。
ただし、業者との友好的な関係を崩してしまわないためにも、仕入れる数や種類を増やすなど、業者にもメリットを提示した上で交渉するようにしてください。
人件費を見直す
店舗の運営を円滑に進めるためにはスタッフの存在が欠かせません。
しかし、店舗の規模やお客さんの入りに対してスタッフの数が多すぎるなど、人件費を無駄に発生させてしまっている飲食店は少なくありません。
そういった店舗は、人件費の見直しに着手することで経費を大幅に削減できる可能性があります。
まずはシフトを見直し、スタッフを確保しすぎていないか確認しましょう。
また、それぞれの働きに合わせて給与を見直すことでも経費削減を図れます。
ロス管理を徹底する
飲食店が避けて通れない「フードロス」。
ロスする食材が増えれば増えるほど無駄な経費がかさんでいくため、経費を削減したいのであれば見直す必要があります。
ロス管理を徹底してなるべく食材を無駄にしないようにしましょう。
まとめ
飲食店の経営者が把握しておきたい経費削減の基礎知識について紹介してきました。
売上ばかりを気にかけて経費削減については一切着手していないという飲食店は少なくありません。
しかし、飲食店は日々さまざまなところでコストが発生してしまいます。
それらのコストをしっかりと把握して、削減する方法がないかを考え、テストをかねて実践してみるだけでも結果は大きく変わるはずです。
まずは現状のコストの把握とFLコスト・FL比率を把握して、紹介した経費削減アイディアでの経費削減にチャレンジしてみてください。