近年、日本のインバウンド需要が急速に回復しており、外国人観光客へのおもてなしの重要性が高まっています。そのなかでも飲食店における多言語対応、特に英語メニューの導入は、外国人観光客の受け入れに欠かせない要素となっています。
そのなかでも悩ましいのが英語メニューについてではないでしょうか?
英語メニューがあると、便利なうえに利便性も高まるので用意した方がいいということは理解していても、手間を考えるとなかなか作成できずにいるという店舗も多いと思います。
そこでこの記事では、飲食店の英語メニューについて紹介していきます。
- 英語メニューを作成するべき理由
- 実際に英語メニューを作成するときに意識するべきポイント
ぜひ参考にしてみてください。
飲食店が英語メニューを作成するべき理由
外国人観光客への対応強化は、現代の飲食店経営において重要な課題となっています。英語メニューの導入は、店舗の国際化への第一歩であり、以下の理由から積極的に取り組むべき施策です。
飲食店が英語メニューを作成するべき主な理由としては、以下の5点があげられます。
- 外国人観光客が増えてきているから
- 集客力とリピーター率の向上につながる
- 店舗の国際的な信頼性向上に貢献
それぞれの理由について詳しく解説していきます。
外国人観光客が増えてきているから
日本政府観光局の統計によると、2024年の訪日外国人観光客数は、コロナ禍以前の水準を超える勢いで回復しています。2023年には、年間3,200万人を超える外国人観光客が日本を訪れました。
特に注目すべきは、観光客の消費動向調査で「日本滞在中にしたこと」の上位に、必ず「日本食を食べること」が入っていることです。外国人観光客の約97%が日本食を楽しむことを目的に来日しているという結果も出ています。
このような状況下で、英語メニューがない店舗は、増加する外国人観光客の重要な経済機会を逃してしまう可能性があります。
日本語の話せない外国人観光客のニーズを満たして日本を満喫してもらうためにも、英語メニューが欠かせないと考えられます。
出典:日本政府観光局統計データ https://www.jnto.go.jp/statistics/
スタッフの負担を減らすため
日本語がわからないお客さんは日本語のメニューを理解できないので、スタッフに質問してどういった料理なのか確認するしかありません。
その場合、海外のお客さんが来店するたびにそういった要望に対応しなくてはいけないため、スタッフにとって大きな負担になります。
スタッフの少ない店舗や英語の理解できるスタッフが在籍していない店舗であればなおさらです。
英語メニューを用意しておけば、スタッフの対応が必要になる機会を大幅に減らせるため、スタッフの負担の軽減にもつながります。
トラブルを避けるため
海外のお客さんの中には日本語が読めないことを気にせずイメージやフィーリングだけで注文する方も結構な割合でいます。
その場合、提供した料理がその人の口に合えば問題ありませんが、口に合わなかったりイメージと異なる料理を提供してしまった場合、トラブルに発展してしまいかねません。
当然その際も英語で対応しなくてはいけなくなってしまうので、問題を解消するのに時間も手間もかかります。
英語のメニューを用意しておけば、日本語がわからないお客さんでもどういった料理かきちんと理解した上で注文できるようになるので、こういったトラブルを未然に防げるようになります。
店舗の国際的な信頼性向上に貢献
英語メニューの導入は、店舗のプロフェッショナリズムとおもてなしの姿勢を示す重要なシグナルとなります。これは日本人客にとっても、店舗の信頼性や品質の高さを示す指標となり、結果として全体的な集客力の向上につながります。
また、インターナショナルな雰囲気は、若い世代や、国際的な交流に関心のある客層にも好印象を与えます。
飲食店が英語メニューを作成するときに意識するべき6つのポイント
外国からのお客さんのニーズに答える上でなくてはならない英語メニューですが、ただ作成すればいいわけではありません。
英語メニューを作成するのであれば、作成する上で重要になるポイントを押さえておく必要があります。
実際に英語メニューの作成に着手する際に意識するべき主なポイントとして、6点があげられます。
- 料理の写真を掲載する
- 番号を掲載する
- 料理の説明文も記載する
- 料理によっては食べ方も記載する
- 原材料や成分表、アレルギー情報を掲載する
- 宗教や慣習に配慮したメニューを作成する
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
料理の写真を掲載する
英語メニューを作成する上で真っ先に取り入れるべきなのが、料理の写真です。
メニューに料理の写真を掲載することは、言語の壁を超えるための最も効果的な方法の一つです。高品質な写真を使用することで、料理の見た目や大きさ、盛り付けなどを直感的に理解してもらうことができます。
メニューに料理の写真を掲載することは、言語の壁を超えるための最も効果的な方法の一つです。高品質な写真を使用することで、料理の見た目や大きさ、盛り付けなどを直感的に理解してもらうことができます。
写真は自然光で撮影し、料理の特徴が分かりやすい角度から撮ることが重要です。また、定期的に写真を更新して、実際の提供料理との差異が生じないように注意を払いましょう。 「イメージしていたのと違う」といった内容のクレームやトラブルを未然に防げるようになります。
番号を掲載する
メニューの各料理に番号を付けることで、注文時のコミュニケーションを円滑にすることができます。これは特に、英語での会話に不安がある店舗スタッフにとって、注文の聞き間違いを防ぐ有効な手段となります。
番号は見やすい大きさで表示し、料理名の近くに配置することで、スムーズな注文につながります。
料理の説明文も記載する
料理の説明文は、その料理の特徴や調理方法、使用している主要な食材を簡潔に説明するものです。特に和食の場合、外国人観光客にとって馴染みのない料理も多いため、分かりやすい説明が重要です。
説明文は簡潔でありながら、料理の魅力が伝わるような表現を心がけましょう。専門用語は避け、一般的な表現を使用することをお勧めします。
料理によっては食べ方も記載する
外国人観光客の中には「和食を食べたことがない」という方もいます。
そこでメニューに取り入れておきたいのが、日本独自の食事作法や、特殊な食べ方が必要な料理については、その食べ方も併せて記載することが重要です。
例えば、そばやうどんのすすり方、天ぷらの塩とつゆの使い分けなど、日本特有の食文化に関する情報を提供することで、より良い食事体験を提供できます。
また、イラストや図を用いることで、より分かりやすく伝えることができます。 食べ方に関する質問が減ることで、スタッフの負担の軽減にもつながるので、ぜひ取り入れてみましょう。
原材料や成分表、アレルギー情報を掲載する
食の安全性に対する意識が高まる中、原材料表示やアレルギー情報の提供は必須となっています。特に、主要なアレルゲン(鶏卵や牛乳、小麦、落花生など)については、目立つ形で表示することが重要です。
また、ベジタリアンやビーガン向けのメニューについても、使用している原材料を明確に表示することで、安心して注文してもらうことができます。
また、アレルギー情報については生死に関わるトラブルを避けるためにも、優先的かつ正確に掲載するように注意してください。
多様な食文化に対応したメニュー表示の工夫
海外の国の中には、宗教や慣習によって口にしてはいけないものが決められているような国もあります。
例えば、イスラム教を信仰している人には豚肉やアルコールを提供してはいけません。ヒンドゥー教は豚肉だけでなく肉類全般を禁止している宗教です。
こういった決まりや慣習がある国の人に、禁止されている食品や飲料を提供してしまうとトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを避けるためにも、国土交通省の「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応」のページを参考にしながら必要な情報を記入したメニューを作成するようにしましょう。
参考:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/taiou_manual.html
ヴィーガン、ベジタリアン向けの表示
ヴィーガンやベジタリアンのお客様向けには、特に丁寧な情報提供が必要です。
専用のピクトグラムを使用することで、一目で該当メニューを識別できるようにします。また、使用している食材を詳細に表示し、調理過程での動物性食材の混入がないことを明確に示すことが重要です。
まとめ
飲食店の英語メニューについて紹介してきました。
外国人観光客はもちろん、海外からの労働者など、これから更に増えることが予想されている海外のお客さんのニーズに答えられる飲食店を作る上で英語メニューは欠かせません。
このままグローバル化が進んでいけば、飲食店には英語メニューが用意されているのが当たり前になる未来もそう遠くないでしょう。
しかし、日本の飲食店はまだまだ英語メニューを取り入れていない店舗が大半なので、英語メニューを取り入れるのであれば今がチャンスです。
英語メニューを取り入れることで他の店舗との差別化につながるので、ぜひ導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?