独立して飲食店を始める際、頭を悩ませることになるのが、「保険に加入するべきかどうか」についてです。
飲食店の経営にはさまざまなリスクが潜んでいるため、万が一のために保険への加入を検討する必要があります。
そこでこの記事では、飲食店を経営する際の保険について紹介していきます。
- 飲食店の経営に潜むリスク
- 飲食店が保険に加入するメリット・デメリット
- 飲食店用保険の種類
などについて解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店経営に潜む3つのリスク
「飲食店を経営するときは保険に加入するべき」と言われるのは、飲食店の経営にはさまざまなリスクが潜んでおり、それらのリスクに対処するためです。
飲食店を経営する上での主なリスクとしては、3つがあげられます。
- 賠償リスク
- 損害リスク
- 休業リスク
それぞれのリスクについて詳しく解説していきます。
1. 賠償リスク
飲食店はさまざまな賠償のリスクにさらされています。
例えば、適切に食材を取り扱っていなかったことが原因で食中毒が発生した場合、食中毒になってしまったお客さんから訴えられてしまいかねません。
食中毒になってしまったお客さんが複数人いる場合、賠償の金額もそれなりの金額になります。
また、万が一雇っているスタッフの接客が原因で、お客さんに何かしらの損害をあたえてしまった際も賠償する必要があります。
さらに、賠償の範囲はお店の外にも及びます。
店舗の外に設置していた看板やのぼりが倒れて通行人を怪我させてしまった際の治療費や、車にぶつかるなどした時の修理代も支払わなくてはいけません。
2. 損害リスク
飲食店を経営していると、雨や雷、台風などの自然災害によって店舗に損害が発生する可能性があります。
雨漏りや雨によって冠水した水が店舗に入り込み、店舗を水浸しにするかもしれません。
台風によって飛ばされたものが店舗のガラスにあたり、ガラスが破損するようなこともあるでしょう。
また、飲食店では火を使うため、店舗で火災が発生する可能性もあります。
さらに気をつけなくてはいけないのが、空き巣などによる損害です。
飲食店はお金を取り扱うため、住宅よりも空き巣に狙われやすく、盗難による損害も懸念されます。
3. 休業リスク
飲食店は食中毒や自然災害による損害などさまざまなリスクにさらされていますが、それらのトラブルが発生したときに懸念されるのが店舗の休業リスクです。
店舗で食中毒が発生してしまった場合、保健所による立ち入り検査がおこなわれます。
立ち入り検査の結果、食中毒の原因が店舗の過失だと判明した場合、店舗に3日程度の営業停止が課されてしまいます。
また、自然災害や盗難による被害がひどく、店舗が元通りになるまで休業しなくてはならなくなってしまうこともあるでしょう。
当然ですが休業中は売上もなく、利益も出ません。休業している期間にもよりますが、これは飲食店にとって死活問題です。
飲食店を経営する場合、このような休業リスクにも注意する必要があります。
飲食店が保険に加入するメリット
保険に加盟した場合、先ほど紹介したさまざまなリスクに備えることができます。
飲食店を経営していく上で賠償、損害、休業などのリスクから逃れることはできません。
店舗の経営を続ける限り、常にそのリスクにさらされることになります。
「うちは大丈夫」と考えている方も少なくないかと思いますが、どの飲食店でも何かしらのトラブルが発生する可能性はあります。
そのときになって「やっぱり保険に入っておけばよかった…」と後悔しても意味がありません。
ビジネスにおけるトラブルで発生する賠償や損害などに対する支払いの金額は、数百万円~数千万円というとんでもない金額になることも珍しくなく、場合によっては億単位になることもあるでしょう。
賠償や損害への対応が大きくなると、飲食店の経営を続けることが難しくなってしまう可能性もあります。
そのような個人での対応が難しいトラブルにしっかりと備えられる点は、保険に加入することによって得られる大きなメリットです。
飲食店が保険に加入するデメリット
飲食店が保険に加入する際のデメリットとしては、保険料の支払いが発生する点があげられます。
補償を受けるために保険に加入すれば保険料の支払い義務が発生します。
保険料の支払いによって出費が多くなることを懸念して、保険に加入するべきかどうかを迷っている方も多いでしょう。
しかし、飲食店向けの保険料は補償の割に割安です。
加入する保険にもよりますが、数千万円単位の補償が用意されていながら年間10万円以下の保険料で利用できるものも少なくありません。
また、保険料は経費として計上できるので、そこまで大きなデメリットにはなりません。
万が一のリスクに備えられる上に経費としても計上できる点を考えると、やはり保険には加入するべきだと考えられます。
飲食店が加入できる保険の種類
では、飲食店が加入できる保険にはどういったものがあるのでしょうか?
飲食店が加入できる主な保険として、3つがあげられます。
- 災害時に備える保険
- PL保険
- 施設賠償責任保険
それぞれの保険について詳しく解説していきます。
災害時の損害に備える保険
火災や地震などの災害による被害は、一般的な住宅だけでなく飲食店で発生することもあります。
そんなときのために加入しておきたいのが、災害時の損害に備える保険です。
飲食店は業務用の冷蔵庫や冷凍庫、食洗機など高価な設備が多いので、それらの設備が災害によって壊れてしまった場合の備えとして加入しておくといいでしょう。
PL保険
飲食店で発生しがちな特有のトラブルについて補償してくれるのが、PL保険(生産物賠償責任保険)です。
PL保険は、先ほど紹介した食中毒や看板による通行人への被害など、様々なリスクに対して補償してくれます。
飲食店を経営する上で真っ先に加入したい保険です。
施設賠償責任保険
事業者用の保険として広い範囲を補償してくれる「施設賠償責任保険」。
例えば、飲み物や食べ物を運んでいる際にお客さんにぶつかって怪我をさせてしまった場合やお客さんの洋服に飲み物や食べ物をこぼしてしまった場合など、施設でおこるトラブルに対して補償してくれます。
まとめ
飲食店を経営する上でのリスクに触れながら、飲食店は保険に加盟するべきなのかどうかというテーマを深堀りして紹介してきました。
飲食店を経営する上で保険に加盟するべきかどうかは経営者の自由なので、出費を抑制するために保険に加入しないという選択肢もあります。
しかし、飲食店の経営にはさまざまなリスクが付きまといます。
損害賠償請求など、とても手持ちのお金で対処できないようなトラブルが発生してしまう可能性もあります。
そういった万が一のトラブルに備えるために活用するのが保険です。
リスクやトラブルに不安を感じながら店舗を経営するくらいであれば、飲食店向け保険に加入することを前向きに検討してみましょう。