飲食店経営において、新たな収益モデルとして注目を集めているのが「サブスクリプション」サービスです。
コーヒーチェーン店での定額飲み放題から、居酒屋での定額制ドリンクサービスまで、その形態は多岐にわたります。
導入を検討する店舗が増える一方で、システム導入コストや運用面での課題も指摘されています。本記事では、飲食店がサブスクを導入する際のメリット・デメリットを、実際の成功事例と共に詳しく解説していきます。
サブスクとは
サブスクとは「サブスクリプション」の略語で、定期定額制のビジネスモデルを指します。商品やサービスの利用に対して、定期的に一定額を支払う仕組みです。
この仕組みの特徴は、継続的な関係性の構築にあります。通常の都度払いと異なり、顧客は一定期間、特定のサービスを利用する権利を得ることができます。
サブスクと定額課金の違いは、その継続性と関係構築にあります。定額課金が単なる支払い方法の一つであるのに対し、サブスクは顧客との長期的な関係性を重視したビジネスモデルとして位置づけられています。結果として、お客様の継続的な利用を促し、安定した収益確保につながります。
サブスクの流れは飲食業界にも広がっており、
「月◯円で料理食べ放題」 「月◯円でドリンク飲み放題」 「月◯円でドリンクが全品◯円均一」など、飲食店ならではのシステムが展開されています。
飲食店がサブスクを導入するメリット
飲食店のサブスクには、主に2つの形態があります。一つは月額定額で特定メニューを提供する「定額制サービス」で、もう一つは特別価格や優待特典を提供する「会員制サービス」です。
定額制サービスは、コーヒーの飲み放題やギョウザの食べ放題など、特定商品を定額で提供するものです。一方、会員制サービスは月会費を支払うことで、ドリンクの割引や特別メニューの提供を受けられます。
両形態とも、顧客の定期的な来店を促し、固定客の獲得や売上の安定化につながるという特徴があります。また、顧客データの収集・分析が可能となり、効果的なマーケティング施策の立案にも活用できます。
固定客の獲得につながる
サブスクの導入により、お客様の定期的な来店が促進されます。例えば、コーヒーチェーンのサブスクでは、通勤・通学途中に立ち寄る習慣が自然と形成されます。
また、支払った月額料金に見合った価値を得たいという心理が働き、利用頻度が向上します。定期的な来店は、スタッフとの関係構築にもつながり、長期的な固定客の獲得に効果的です。結果として、安定した収益基盤を築くことができます。
新規顧客の獲得につながる
サブスクは新規顧客を引き付ける強力な集客ツールとなります。例えば、月額500円でギョウザが毎日1人前無料になるサービスなど、わかりやすい特典が新規客の来店ハードルを下げます。この仕組みは、特に価格に敏感な若年層の取り込みに効果的です。
さらに、お得な内容は口コミで広がりやすく、既存顧客からの紹介による新規顧客獲得も期待できます。実際に、多くの飲食店でサブスク導入後の新規顧客増加が報告されています。
売上が安定しやすくなる
サブスクは月額料金を前払いで受け取るため、安定した収益基盤を確保できます。天候や季節による売上変動を抑制し、計画的な経営が可能になります。
特に、定額制サービスでは月額料金が固定収入となるため、売上予測が立てやすくなります。また、サブスク会員は追加メニューも注文する傾向があり、結果として客単価の向上にもつながっています。これにより、経営の安定性が大きく向上します。
顧客の情報を収集して活用できる
サブスクの導入により、会員の来店頻度や注文傾向などの詳細なデータを収集できます。この情報を分析することで、顧客ニーズを把握し、効果的なマーケティング施策の立案やメニュー開発が可能になります。
例えば、利用頻度の高い時間帯の把握や、人気メニューの分析により、効率的な店舗運営が実現できます。また、顧客の好みに合わせた個別のプロモーションも可能となり、より効果的な販促活動がおこなえます。
飲食店がサブスクを導入するデメリット
サブスクの導入には、いくつかの課題や注意点があります。主な懸念点として、システム導入コストや運用体制の整備、顧客情報管理の必要性が挙げられます。これらの課題に対する十分な準備と対策が、成功のカギとなります。
企画から実施までに時間と手間がかかる
サブスクの導入には、料金プランの設計から運用方法の確立まで、綿密な準備が必要です。特に原価率を考慮した適切な価格設定や、スタッフ教育に時間を要します。また、既存の業務フローの見直しも必要となり、導入までに相当の時間と労力がかかります。
顧客情報の管理が必要になる
サブスクは登録制のサービスなので、登録されたユーザー情報をこちらで把握し管理しなくてはいけません。
顧客情報の管理はとにかく大変です。
ポイントカードを導入するなどして元から顧客管理をおこなっていた店舗であれば、スムーズに管理できますが、そうでない場合は顧客管理のノウハウがないため手探りの状態で顧客管理に取り組まなくてはいけません。
顧客情報を漏らしてしまうと大問題に発展してしまう可能性があるため、情報漏洩に対応できる体制を整えるなどの対応も必要になってきます。
「手書きのリストを作成する」といったアナログな方法だと、効率的ではないのはもちろん、情報漏洩への対応としても不十分です。
システムを導入するなどして、効率的に情報管理ができ、なおかつ情報の漏れない体制を用意する必要があります。
システムの導入が必要になる
店舗側の負担を軽減するのはもちろん、お客さんがストレスを感じることなくサブスクサービスを利用できる体制を整えるためにもシステムの導入は必須です。
最近は飲食店のサブスク需要が高まってきているということもあり、対応できるシステムが増えてきています。
サブスクを始める場合は、それらのシステムに関する情報をリサーチして最適なものを選定して導入するようにしましょう。
また、導入するシステムによって費用は異なりますが、システムを導入する際は初期費用と毎月の利用料金が発生する点もおさえておきましょう。
飲食店のサブスク失敗を回避するためのポイント
サブスク導入の成功には、綿密な計画と準備が必要です。特に重要なのは、自店の特徴や強みを活かしたサービス設計と、持続可能な運営体制の構築です。また、顧客ニーズの把握と、それに応じた柔軟なサービス調整も欠かせません。
これらの要素を考慮しながら、段階的な導入を進めることで、リスクを最小限に抑えることができます。以下、具体的なポイントを見ていきましょう。
店舗の強みに合わせたサービスを選ぶ
自店の特徴や強みを活かせるサービス内容を設計することが重要です。例えば、コーヒーが強みの店舗であれば、コーヒーに特化したサブスクが効果的です。また、客層や立地条件なども考慮し、最適なサービス内容を検討する必要があります。
適切な価格設定と収益計画
原価率や運営コストを綿密に計算し、持続可能な価格設定をおこなうことが重要です。過度な値引きは経営を圧迫する可能性があります。また、想定される利用頻度や追加注文の見込みなども考慮し、総合的な収益計画を立てる必要があります。
導入後の運用体制を整える
スタッフ教育や業務フローの整備など、運用面での準備を十分に行うことが重要です。特に、会員対応の手順やトラブル時の対処方法を明確化し、スムーズな運営を実現することが必要です。また、定期的な運用状況の確認と改善も欠かせません。
サブスクを導入したい飲食店におすすめのサービス5選
サブスクを取り入れるにあたり活用できるサービスはいくつかありますが、それらのサービスの中でも特におすすめなのが、以下の4つです。
- 飲食店向け会員アプリ「GMOおみせアプリ」
- favyサブスク
- サブするふぁ
- hanalabo
それぞれ詳しく紹介していきます。
飲食店向け会員アプリ「GMOおみせアプリ」
画像引用元:GMOおみせアプリ公式 https://gmo-app.jp/lp/red/
月額22,000円から利用可能な、使いやすい会員管理アプリです。基本仕様をベースにカスタマイズできる柔軟性が特徴で、専門知識がなくても導入できます。
アプリを通じて収集した顧客データを活用し、効果的なマーケティング施策を実施できます。
特に、会員の行動データや購入履歴に基づいた自動分析機能により、顧客管理が容易になります。また、プッシュ通知やクーポン発行など、販促ツールも充実しています。
favyサブスク
画像引用元:株式会社favy https://info.favy.jp/subscription/index.html
サブする
画像引用元:サブする https://sabusuru.jp/
サブするは、メディアでの掲載実績No.1の、今注目のサブスク導入支援ツールです。
飲食店がサブスクを導入する上で欠かせない不正対策用の対面認証機能や分析機能、情報発信機能などさまざまな機能を備えています。
かなり早い段階でサブスクを導入した飲食店として有名な「野郎ラーメン」が導入しているサービスでもあります。
hanalabo
画像引用元:飲食店向けサブスク導入システム – 花ラボ https://hana-labo.jp/subsc/
飲食店のサブスクの導入に特化したサービス、「hanalabo」。
一般的なサブスクはもちろん、予約機能を備えたサブスクの導入にも対応しています。
フリープランとスタンダードプランという2種類のプランが用意されていますが、スタンダードプランでも月7,700円で導入できるので大きな負担になりません。
アナリティクス機能も充実していて、サブスクによる売上や利用状況を把握することもできます。
サブスクを導入している飲食店の事例
実際にサブスクを導入し、成功を収めている飲食店の事例を紹介します。それぞれの店舗が、独自の工夫や特徴的なサービス内容で、顧客満足度の向上と売上アップを実現しています。これらの事例から、成功のポイントを学ぶことができます。
串カツ田中
画像引用元:大阪名物伝統の味|串カツ田中
大阪の人気串カツ店、「串カツ田中」。
串カツ田中では、串カツと相性の良いソフトドリンクやアルコールなどの商品を対象としたサブスクを展開しています。
その内容は、550円の定期券を提示することでドリンクが1杯250円になるというものです。
串カツ田中で提供されているドリンクは450円~となっているので、ドリンクを一定数頼む人や串カツ田中をよく利用する人にとっては非常に魅力的なサービスとなっています。
野郎ラーメン
画像引用元:https://www.yaroramen.jp/
関東を中心に複数の店舗を展開している人気ラーメン店、「野郎ラーメン」。
この野郎ラーメンが展開しているのが、月8,600円で一日一杯まで野郎ラーメンが食べられるというサブスクです。
食べ放題の対象になるラーメンは安いものでも780円するので、11日以上食べれば元を取れる計算になります。
健康面に注意しなくてはいけませんが、ラーメン好きにはたまらないサービスで、実際に多くのユーザーが利用しているようです。
ALL DAY COFFEE
画像引用元:店舗向けに定額・サブスクを導入できるシステム - Sub.(サブ)
グランフロント大阪の地下1階にあるコーヒースタンド、「ALL DAY COFFEE」。
ALL DAY COFFEEは、一ヶ月25杯までコーヒーが飲み放題になるサブスクを展開しています。
一杯あたり150円ほどで本格的なコーヒーが飲めるので、かなりお得なサービスです。
ALL DAY COFFEEはサブスクの利用者を1つのコースあたり20人までと、かなり限定的におこなっています。
いきなり大勢のユーザーに加入されてしまうと対応しきれずトラブルになってしまう可能性があるので、とりあえずサブスクを導入してみたい小規模な店舗にとって参考になる事例です。
coffee mafia西新宿のコーヒーサブスク
日本初の月額定額制コーヒースタンドとして、月額3,000円で通常480円のハンドドリップコーヒーが無料で提供されるサービスを展開しています。品質の高いコーヒーを手頃な価格で提供することで、固定客の獲得に成功しています。
福しんの画期的なギョウザ定期券
月額500円で毎日1人前のギョウザが無料で食べられるサービスを提供。オンライン決済に対応し、利便性の高いシステムを実現しています。リーズナブルな価格設定が話題を呼び、新規顧客の獲得に成功しています。
居酒屋一休の手頃な価格の定額サービス
月額300円からのプラチナパス会員制度を導入し、ドリンクが190円で飲める特典を提供。さらに、特別クーポンやドリンク無料サービスなどの追加特典も付与され、顧客満足度の向上に成功しています。
ベックスコーヒーの多様なプラン展開
通常プランとマイボトルプランという2つの選択肢を用意し、顧客のニーズに合わせたサービスを提供しています。特にマイボトルプランは環境配慮型のサービスとして好評を博しています。
しぶそばの柔軟な定期券システム
毎日食べ放題の定期券から月8回限定のプランまで、多様な料金プランを展開しています。また、うどんへの変更も可能とするなど、柔軟なサービス内容で顧客の支持を集めています。
NOMIPOのリーズナブルな飲み放題
月額990円という手頃な価格で毎日2杯のドリンクを提供するサービスを展開。加盟店舗には広告料や手数料が不要な仕組みにより、店舗と顧客の双方にメリットのあるサービスを実現しています。
TAILORED CAFEのハイクオリティサービス
月額4,180円でスペシャルティコーヒーが飲み放題となるプレミアムなサービスを提供。アプリ注文による待ち時間レス化など、顧客の利便性を重視したシステムを構築しています。
POTLUCKの柔軟な食事プラン
複数のプランから選択できる柔軟なシステムを採用し、顧客の利用頻度に合わせたサービスを提供。様々なジャンルのメニューを取り揃え、飽きのこない食事体験を実現しています。
まとめ
飲食店のサブスク導入は、固定客の獲得や安定的な収益確保など、多くのメリットをもたらす可能性があります。一方で、システム導入や運用面での課題もあるため、自店の状況に合わせた慎重な検討が必要です。
成功のポイントは、店舗の特徴を活かしたサービス設計と、適切な価格設定、そして運用体制の整備です。これらを総合的に検討し、段階的に導入することで、効果的なサブスクサービスの実現が可能となります。